IFRSの導入準備に中だるみ?
企業間に生じる「温度差」の正体
「年初から夏にかけ、IFRSの導入支援を打診してくる企業が増えました。しかしその後、本格的な対応に進んでいる企業は、当初の想定ほど多くありません」
こう明かすのは、IFRSの導入支援サービスを手がける大手経営コンサルタントファームの関係者である。
2015年または2016年3月期から強制適用が始まるIFRS(国際会計基準)。これまでも述べてきた通り、IFRSの適用に伴い、日本企業は会計への認識を大きく変えざるを得なくなる。
当然ながら、経理部門に専門スキルを持った社員を新たに配置したり、会計に関わる全社のシステムを入れ替えたりといった対応が必要になる。これらの準備には、企業によっては4~5年を要するとも言われている。
にもかかわらず、ここにきてIFRSの導入準備に積極的な企業とそうでない企業との「温度差」が大きくなっているようだ。それを指摘するコンサル関係者は複数に上り、彼らはこの状況を「中だるみ」と呼んでいる。
中だるみが起きている理由として、「IFRSの導入によって自社が被る影響を分析する“インパクト調査”を、一通り済ませた企業が増えたからではないか」と、冒頭の関係者は指摘する。
連載第17回でも紹介した通り、ひと口にコンサルの「IFRS導入支援」と言っても、その取り組みはいくつかのステップに分かれている。
企業が導入支援を依頼するコンサルの方針によっても差はあるが、取り組みのステップは大きく分けて、導入に関して調査・分析を行なう「フェーズ1」、IFRS対応のシステムや仕組みを本格導入する「フェーズ2」、そして導入後に制度を維持・改善していくための「フェーズ3」となる。このうちフェーズ1が、俗に言われる「インパクト調査」である。