「冬のソナタ」ブームをきっかけに日本中に広がった韓流ブーム。現在も多くの韓国人俳優や歌手が日本で活躍し、老若男女の日本人の心を掴んでいるのは周知の事実だろう。

 ただ、韓国の海外進出は日本だけに留まらない。ご存知のとおり、薄型テレビ、携帯電話を展開する韓国系企業が世界中で目覚ましい活躍を遂げている。そして、そのグローバル化は事業分野だけではなく、ビジネスを支える「会計」の分野でも急速に進んでいるようだ。

2011年強制適用へ前向きな韓国
日本は足踏み状態が続く

 これまで当連載で紹介してきた国際会計基準(IFRS)。2005年にEUが適用を義務付けて以来、この「世界標準」ともなりつつある会計基準を適用する国が増え始めている。現在では世界100ヵ国以上で、強制または任意適用が認められている状況だ。

 その1つである韓国は、2007年3月にIFRS適用のロードマップを公表。09年に早期適用を開始し、11年からの強制適用が決定している。韓国金融監督院が10年1月に行なった調査によると、11年までに強制適用が要求される公開会社1925社のうち、09年には14社が、10年には計42社が早期適用を行なっている。

 また、回答企業の75.1%がすでにIFRS適用のプロセスを開始しており、いまだ適用の準備をしていない企業についても93.9%が10年上半期までに開始する予定だという。このように韓国では、IFRSの強制適用に向けて総じて前向きに動いている企業が多いことがわかる。

 一方の日本はどうかというと、10年に早期適用が開始され、15年または16年の強制適用に向けて動き始めている。とはいえ、「12年に適用時期や基準、範囲などが決定するのを見越して……」という理由もあるだろうが、全体的にあまり企業の姿勢は積極的ではないように見受けられる。

 公認会計士の高桑昌也・エスネットワークス取締役は、「全上場企業約3700社のうち、超大手企業やグローバル企業を除いては、あまり積極的ではないのが現状だ。IFRSの早期導入によるメリットの1つは、海外から投資資金を集めやすくなること。しかし、まだ海外展開を積極的に行なっていなかったり、売上高が数百億円規模の企業は、それをあまりメリットと感じていないのでは」と語る。

 確かに日本は、IFRS適用に関して不確定要素が多い部分もあるが、なぜ文化的にも地理的にも近い日本と韓国の間に、このような差ができてしまったのだろうか。