原爆慰霊碑に刻まれた文章の意味

 オバマ大統領が献花した原爆死没者慰霊碑には、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれている。

「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」。慰霊碑と原爆ドームが一直線で結ばれるよう配置されている。

 この慰霊碑は1952年(昭和27年)の8月6日、原爆投下から7年目の記念日に設立された。原爆死没者名簿を納めた石棺の正面に置かれている。

「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」(英文では「Let all the souls here rest in peace; For we shall not repeat the evil.」)との文章を考案したのは、自身も被爆者である英文学者の雑賀忠義・広島大学教授(当時)で、実際に揮毫したのも雑賀氏である。

 ここでいう「過ち」とは何を指し、誰が犯したものなのか。はっきりしない文章に、違和感を覚える人もいるかもしれない。筆者は少年時代を広島で暮らし、何かにつけこの碑文を目にする機会が多かったが、確かに当初はそんな印象を持っていた。

 実際、慰霊碑の建立当時から、この文言に対しては多くの意見が挙がっていた。除幕式を終えた直後の8月10日の地元紙「中国新聞」には「碑文は原爆投下の責任を明確にしていない」「原爆を投下したのは米国であるから、過ちは繰返させませんからとすべきだ」との投書が掲載されたという。

主語は「人類全体」という公式見解

 こうした声に対し、当時の浜井信三市長は「誰のせいでこうなったかの詮索ではなく、こんなひどいことは人間の世界に再びあってはならない」と主張し、主語は「人類全体」なのだと説明した。