国内では元LINE代表取締役の森川亮氏が手掛ける「Cチャンネル」を手始めに、昨年12月にはLINEの「ラインライブ」がサービスを開始。今年3月にはサイバーエージェントとテレビ朝日が「アベマTV」を立ち上げ、サービス開始からわずか2カ月でダウンロード数300万を突破して話題となった。こうしたサービスの登場により、無料動画視聴が徐々に浸透してきている。

事業の収益性は未知数

 実は、エイベックスはすでに定額課金制の動画配信サービスを提供している。NTTドコモと組んで国内最大手となっている「dTV」や、ソフトバンクと組んだ「UULA」などだ。それがなぜ、今回は無料動画配信サービスへの参入を決めたのか。背景にあるのは有料動画市場の伸び悩みだ。

 dTVやUULAはDVDレンタル店やテレビの有料放送からシェアを奪うことでユーザー数を伸ばしてきた。だが相次ぐ競合サービスの参入でその成長は鈍化している。エイベックスの映像事業は増収減益となっており、UULAは会員数がピーク時の157万人から88万人まで激減している。無料動画市場へかじを切ることは、映像事業を成長させるためにも不可欠なのだ。

 ただしその収益を支える動画広告の単価は、競合するテレビのCMと比べて「桁違いに安い」(広告代理店関係者)。動画広告市場は今後も成長が見込まれるが、コンテンツの仕入れに掛かる多額のコストを上回る収益が見込めるかは未知数だ。

 定額課金制に無料動画が加わり、ますます競争が激化する動画配信サービス。生き残るためには、コンテンツによる差別化はもちろん、消耗戦に耐え得る“体力”も不可欠になる。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 北濱信哉)