今年5月以降、中国で賃上げや待遇改善を求めるストライキが相次いでいる。特に日系企業で頻発しており、ホンダやトヨタ自動車では、部品工場のストで完成車組み立て工場が操業停止に追い込まれるなど、影響は深刻だ。ストの背景には、日系企業が長年抱えてきた「難題」が潜んでいる。

 8月26日、大連の日本商工会が、市政府に「異例」の要望書を提出した。頻発する違法ストライキに当局が積極的に介入し、労使関係の安定化に動いてくれるよう求めたものだ。

 大連では2010年に入って87社でストが発生(8月19日時点)しており、そのうち65社を日系企業が占めている。7月には、東芝や日本電産の関連工場などでストが相次いだ。

 商工会が懸念したのは、ストの件数ばかりではない。今年のストの多くは、賃金改定の交渉中や合意後に発生しており、なかには、ストの首謀者がストに参加しない従業員を脅す悪質な事例もあった。このまま放置すれば、ストはますます無秩序化しエスカレートする恐れがあった。

 大連では05年にもストが頻発したことがあったが、そのときは、市政府がストを「違法」として積極的に介入し、早期に収束した。ところが今回は、市政府が消極的で、これまでのところ積極的に介入する動きを見せていない。この事態を重く見た商工会は、初めて、文書による当局へのスト抑制要請に踏み切ったのだ。

 多発するストの口火を切ったのは広東省のホンダ系部品工場だった。5月17日に賃上げを求めたストが発生、2週間にわたって続き、その間、完成車組み立て工場が数日間の操業停止に追い込まれた(表参照)。

 ホンダの騒動は同業のトヨタ自動車にも飛び火した。天津にある豊田合成の部品工場でも6月中旬にストが発生し、トヨタの完成車組み立て工場が数日間の操業停止に陥った。6月下旬には広東のデンソー子会社でもストが発生し、トヨタ、ホンダの完成車組み立て工場の生産ラインが止まった。

 その後ストは、大連など他の地域、自動車以外の産業へと波及していった。

※「週刊ダイヤモンド」9月11日号10ページ1段目11行目の「TDK」を削除いたします。実際にはTDKでストは起きていませんでした。お詫びして訂正いたします。