ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

マイクロソフトのリンクトイン買収、
予想以上の「相乗効果」も

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第394回】 2016年6月16日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2

近未来の働き方を
予感させる両社の統合

 相乗効果とは、以下のようなケースがあるだろう。

 マイクロソフトのメールアプリケーションであるホットメールやアウトルックの中から、リンクトインのネットワークに直接メールを送ることができるとどうなるか。新しい知識が欲しい、誰かを紹介して欲しい、といったことが、メール上ですぐにできるようになる。

 あるいは、ただの文書作成でもいい。特定の知識が必要な際にその文字部分を囲めば、リンクトインのネットワークの中からそうした知識の持ち主が洗い出され、アドバイスを得ることができる。

 こうした例は、ちょっと未来的な仕事風景だが、現在ではバラバラになっているアプリケーションを統合すれば理想的な方法があるはずで、仕事は確実にこの方向へ向かっている。そして、マイクロソフトもリンクトインも共にその土台を備えているのだ。

 また、こんなよくある未来風景も現実的になる。ミーティング室に向かう廊下で、スマートフォンの中のコルタナ(マイクロソフトのAIエージェント)が、これから合う相手についてのブリーフィングをしてくれる。その情報は、リンクトインに載っているものだ。

 前職は何だったかとか、どこの出身か、勉強した大学はどこか、共通の知り合いは誰かといったことをあらかじめしっかりと予習していくのは、こうなるともう当たり前になるかもしれない。今回の買収をもってすれば、それが自動化されるというわけだ。

 問題は、両者が統合をうまくなし得るかにある。マイクロソフトは2012年にビジネス用の社内ソーシャル・ネットワークのヤマーを買収したものの、その後同サービスをうまく発展させられずにいる。スカイプですら、ともすれば他の同類のサービスに押され気味だ。

 一方、うまく統合できれば、仕事ツールを提供するマイクロソフトが生まれ変わるきっかけにもなるだろう。買収額の大きさだけではなく、その可能性も無限に大きい。

previous page
2
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

「ビジネスモデルの破壊者たち」

⇒バックナンバー一覧