40代のプレイング・マネジャーにとっての最大の悩みは、自分の時間と部下育成の時間の両立。多くの時間を育成に費やしたが成果につながらなかったことを後悔するシニアたちも多い。では、二つの時間のバランスを取りながら、一石二鳥で解決する方法はないのだろうか?シリーズ最新作『40代を後悔しない50のリスト【時間編】』から、一部を抜粋して紹介する。

【後悔リスト18】育成に多くの時間を取られたが、成果につながらなかった

 40代が30代の延長ではなくなる最も象徴的なことは、30代までは自分の仕事で成果を出せばよかったものが、40代になると部下を育成し、部下を通して成果を上げなければならなくなることです。

「名プレーヤー、名監督ならず」ではありませんが、プレーヤーとして優秀だった人が管理職になったとたんにチームとしての成果を上げられず、会社の期待を裏切ってしまうケースは珍しいことではありません。

 部下の育成に明確な答えはありませんが、多くのマネジャーがプレーヤーとしての膨大な時間を費やして、その答えを探っていることは事実です。結果、育成に時間を取られたわりには成果につながらなかったと後悔している人も多いのです。少なくとも、もう少し効果的な育成法があれば知りたかったと。

 では、諸先輩たちが苦労する中で、どのようなやり方が効果的だったと言っているのでしょうか。人材育成はその人のスキルやポテンシャル、性格なども絡むので一概にいえませんが、私が聞いた中で比較的多かったのは、本人の強みを活かして、メンバー同士の化学変化を利用することだと思います。

 人材サービス会社の営業部門でプレイング・マネジャーを務めるN口さんも、昇進直後は、部下育成に時間を割かれるわりに、成果を上げられず困惑した一年を過ごしました。そこで、業績も低迷を続けるばかりなので、思い切ってかつての上司に相談することにしました。

 同様な経験を乗り越えた上司のアドバイスは明確でした。それは、成果につながるマネジメントの基本は、ずばり「部下の強み」にフォーカスして、その強みが活かせる領域を一緒に考えて、そこで強みを発揮させる以外ないということでした。

 育成というと、つい「弱み」の克服を考えがちですが、それだと時間ばかり取られるし、結局、解決できないことが多いので、成果にはつながらないというわけです。

 他人を変えることはできないので、とどのつまりが、自分で変わるようにどう仕向けるか、育成しようとするより本人のコア・コンピタンスを軸に、強みをいかに伸ばすかがカギになるというのです。

 そのアドバイスを聞いて、N口さんはもっとマネジメントというものをシンプルに考えて、それぞれの強みをどういった領域で発揮させれば成果につながるのかに絞ってマネジメントをしようと心に決めました。そこで、それまでは個人商店の集まりだったようなグループでしたが、思い切って「ユニット制」を敷くことにしたのです。