住まいに関しては、すぐに「賃貸か持ち家か」「得か損か」という二択が議論の対象になりますが、実は最も重要なのは「どこに住むか」という場所です。

 これからの時代、持ち家ありきで予算に合わせて住む場所を探すようでは順番が逆です。まずは価値観、ライフスタイルから出発して居住エリアを探すことが何より大切なことです。自分たちの理想とする暮らし方に合った場所を探すことに、まずはじっくり時間をかけなくてはなりません。

 共働きであれば、子どもの年齢によって必ず保育園に入園できる地域や学童保育の充実した場所を選ぶ必要性が出てきます。その他、児童館、図書館、体育館、小児科、内科、整形外科、歯科、眼科、アレルギー科といったクリニックが徒歩圏内にあるか、夜間、救急の病院が近くにあるかどうかも結構重要です。

 そうした視点で住むエリアを選んだ上で、次に予算に見合う物件を探すのです。人気のエリアに限って物件そのものがなかったり、たまたまあっても価格が合わなかったりということもありますから、その際は不動産屋さんに頼んでおいて出物があるまで待つことです。

 不動産は人生最大の買い物ですから、つい得か損かという視点でも考えてしまいますが、人生のステージによっても変化するものですから、固定化しないことです。先人たちの住まいの後悔は、資産価値という問題も含めて固定してしまったことに端を発するものがほとんどです。また、限られた時間の総量を考えざるを得ない40代にとって、特に通勤時間の悩みは、あとあと大きな問題になってきます。

 W辺常務の「身軽にしておく」というのは、何か住む場所で気に入らないことや不都合が出てきたら、すぐに引っ越しができるようにしておけという意味です。住まいについては、自分の転勤、転職、価値観の変化だけでなく、隣人住民の質やマナー、子どもの学校、近隣の騒音や排気ガスなど、住んでみなければわからないことがあまりに多いのです。

 葛飾北斎は生涯93回引っ越したといいますし、当時の江戸っ子も頻繁に引っ越したといいますが、賃貸の二年契約であれば、気になることに不満を感じながら暮らすというストレスを最小限にできるかもしれません。

 しかし、それだと老後が心配だという人も多いでしょう。W辺常務のお勧めは、引っ越しする中から気に入った場所を見つけたら、その近くで50代以降に持ち家を検討するか、退職金で持ち家を購入することだそうです。そうすれば住宅ローンに苦しむこともありませんし、やり繰りに頭や気をつかう時間も不要になります。

 なお、40代で気に入った場所が見つかり、今すぐでなくても将来的に持ち家を買う経済的な余裕があるなら、「換金性」を最優先させるようにしてください。投資物件という意味ではなく、もちろんいつでも動けるように、心身ともに身軽でいるためです。

 何か将来後悔しそうな問題が持ち上がったときに、すぐに損をすることなく売ることができるなら、次のアクションが取れます。そのためには物件価値の落ちないエリアで、駅から10分以内の物件を目安にすること。不動産自体はなかなか素人にはわからないことも多いですが、人気エリアの価格は下がらないものです。

 40代というのは昇進したり、転勤のタイミングだったり、子どもの受験があったりと目まぐるしく生活が変わる10年でもあります。そうした年回りだからこそ、臨機応変に対応できるよう、住まいもマイナスの資産とならないように、身軽な状況にしておくのが後悔しない秘訣なのです。

【ポイント】人生のステージに合わせて動けるように、住まいは固定化しない

第23回に続く(7/15公開予定です)