「俺だって疲れているんですよ!翌日の朝が早いのに、そんなことされては、たまったものではありません」

 とにかく彼女の「かまってほしい」という欲求がハンパではなかったそうです。しかし、哲也さんは当初、それは愛情の裏返しだと思い、深くは考えませんでした。

「今、思えば、完全に愉快犯ですね。断言できます。彼女と過ごす時間は『いつ何をされるか』毎回毎回、不安で不安で仕方ありませんでした。彼女が特に厄介なのは外面と内面が違うことです。まるで二重人格です」

 彼女の悪態に困り果てた哲也さんは、彼女の同僚に相談してみたそうです。しかし、同僚の女性は「冗談でしょ。あの子がそんなことするなんて」と一笑に付され、まともに取り合ってくれなかったそうです。

 このように彼女との関係は、次第に混迷の色を濃くしていきました。哲也さんは、訳が分からなくなっていました。「彼女から嫌われているのか、好かれているのか」どちらなのかがです。

「彼女から嫌われているのなら、すんなり別れてくれるはずだし別れないのなら、やっぱり好きなのか」

 そんな考えが哲也さんの頭のなかで堂々巡りしていました。このまま、彼女と関係を続けると頭がおかしくなってしまいそうでした。そして、哲也さんはついに覚悟を決め、恐る恐る、彼女にこう切り出したのです。

「少し距離を置きたい。連絡してこないでほしい」と。

 それに対する彼女の第一声は「どこのオンナ?」でした。なぜか、哲也さんの浮気を疑ってきたのです。もちろん、哲也さんは浮気などしていないので、「オンナなんていないよ」とありのまま、彼女に答えました。すると彼女が「じゃぁ、冷却期間なんて必要ないわね」と言い出し、哲也さんは、いとも簡単に丸めこまれてしまいます。まさに「ああ言えば、こう言う」の状態でした。

 哲也さんは心の底から、別れたいと思っているのに彼女があの手この手で引き止める、そんな繰り返しでズルズルと続いてしまったそうです。

自然消滅したはずが
定期的に彼女が自宅付近に?

 哲也さんには彼女との関係を自然消滅させる以外、選択肢はありませんでした。本当はきちんと別れを告げ、彼女を納得させたいのですが、説得するには、何年、何十年かかるか分かりません。哲也さんはその日から、自分から彼女へ連絡するのを一切やめました。しかし、彼女はただでは済ませてくれなかったようです。