国公立大学上位校に多くの合格実績を出している高校はどこか。「国公立100大学合格力」を基に全国の中高一貫校・高校をランキングし、ベスト2751校を選出した『ダイヤモンド・セレクト2016年8月号 中高一貫校・高校ランキング 2017年入試版』から、ここでは全国ランキング上位50校のデータを見ながらトップ進学校の実態を見ていこう。
日本の大学入試は、この前後数年間でその風景が一変する転換期にある。大学受験シーズンの到来を告げる大学入試センター試験は、まだ仮称だが、5年後からは「大学入学希望者学力評価テスト」に取って代わられる。合格者を主としてアメフト部員が胴上げする東京大学の合格発表掲示風景も、総合図書館の増改築工事を名目に一昨年から中止されたまま、もう再開されないのではないか、ともっぱらだ。
保護者も含め、関係者の注目を集めているのが「東大・京大・医学部」の高校別合格者数だろう。今年はそこに、初めて行われた推薦入試(東大)や特色入試(京大)の結果も加わり、受験者の頭をよぎる3つの頂点として話題は尽きない。
とはいえ、「東大・京大・医学部」の入学者をすべて合わせても1万5000人ほど。四年制大学進学者全体の3%にも満たない。もう少し裾野を広げて、現在の進学校のあり方を見てみたいということで、本誌では「大学合格力」という独自の指標を設けている。
目立つ公立高校の躍進
リーマンショック後の風景
今回は公立高校の躍進ぶりが目についた。各県の名門進学校はもとより、制度ができてから20年近くが経過した公立中高一貫校も上位に名を連ねるようになってきた。
今年大学入試に臨んだ生徒が中学校に入ったのは10年のことである。この世代は、08年秋に起きたリーマンショックの影響を受けた世代でもある。09年の中学受験はともかく、10年、11年となると、経済的な事情から私立中学受験を諦め、公立に進んだ成績上位層も少なからずいたと見られる。
加えて、特に東日本では11年3月に起きた大震災を機に、遠くの私立進学校に無理して通わなくても近くの公立でいいという地元志向の流れも感じられる。18年の大学入試ぐらいから、こうした流れの影響も見られるかもしれない。
つまり、公立高校の躍進という全国的な傾向は、これから数年間、「国公立100大学」合格力ランキングでは続くものと考えられる。
大学選びにも偏差値や人気よりも経済的な観点が反映される例が見えてきた。最近の例では、早稲田大に合格していながら奨学金がもらえる白鷗大学に進学した生徒、私立より国立という例では、法政大よりも茨城大を選んだ生徒、早大を蹴って電気通信大に行く生徒も出ている。政府による給付型奨学金が本格的に動き出せば話は変わって来るかもしれない。
いささか前置きが長くなってしまったが、各都道府県の事情も織り交ぜながらランキング上位から眺めていきたい。