この結果について石原氏は、「京大の理系は一般入試で優秀な学生が集まるので、AOで無理して学生を取る必然性を感じていない。対して、文系は東大との学力差が広がっているので、AOでいい学生を集めたかった。とくに法学部は一般入試で廃止した後期日程をAOで復活させ、学力の高い学生を集めることができたのではないか」と見る。

 石原氏の指摘は特色入試の出願要件を見ても納得できる。文系は特段厳しい要件を課していないが、理系では工学部の地球工学科など3学科が数学オリンピックなど国際的な科学競技会での優秀な成績を要件に課したほか、医学部医学科は英語資格試験のTOEFL−iBTで83点以上と英語圏の大学に留学できるレベルを求めた。

 理学部は要件が厳しくなかったので出願者は多かったが、2次試験の数学は4時間に及ぶハードなもので、一般入試よりはるかに難問だった。そのため、59人の出願で合格者は5人にとどまった。

 大学通信常務の安田賢治氏は、「理系の特色入試に合格した学生は、一般入試でも受かるレベルだっただろう」と話す。このため、京大の理系特色入試は「難しすぎる」との評価が定着してしまった。

 東大についても、推薦要件のハードルが高すぎたとの声が絶えない。高校の学校長が推薦できるのは、各校男女1人ずつ。「東大の推薦入試で合格者が(募集人員の)100人に届かなかったのは、各校男女1人ずつの制限があったことが大きい。女子が成績1〜3番目までを占めているとしたら、4番の男子を推薦しづらい。例えば、文系・理系で1人ずつにすれば学校長も推薦しやすいし、女子の比率がもっと上がるのではないか」と石原氏は指摘する。

 医学部医学科については、国際的な科学競技会での顕著な成績か、TOEFL−iBTが100点以上など極めて高度な英語力のどちらかが求められた。それでも2人が合格したのは、むしろ特筆に値すると言っていいだろう。