英国と米国の混乱は対岸の火事ではない

 こう考えると、英国のEU離脱も米国でのトランプ旋風も、一般大衆がアホでポピュリズムに走ったからではなく、むしろエリート層が弱体化してグローバル化とデジタル化という構造変化の速さに見合った形で社会システムを進化させられていないからこそ、一般大衆が経済の効率性よりも公平性を追求するという合理的な判断をした結果であると言えるのではないでしょうか。

 そして、それは日本にとって、英国や米国という対岸の火事ではありません。よく考えたら、日本は潜在成長率が先進国で最低と、エリート層による効率性の追求も不十分ですが、持続可能性に大きな疑問符がつく社会保障システムの下では一般大衆にとって公平性の実現度合いも不十分です。

 それにもかかわらず、参院選での各党の公約を見ると、与党の公約は効率性の観点からも公平性の観点からも明らかに中途半端で不十分な内容となっており、一方で野党の多くは構造変化の進展を踏まえているとは思えない時代遅れな公平性の追求ばかりを主張しています。

 幸い、日本ではトランプのように一般大衆の不安と怒りを具現化できるリーダーがいませんので、英国や米国のような混乱した状況にはなっていませんが、いつそういう人が現れるか分かりません。

 私もかつてエリートと言われる側にいた人間として自戒の念を込めて言うと、そうなる前に、日本のエリート層と言われる人たちは、もっと自分たちの考え、経済政策、そして社会システムを進化させて、効率性と公平性の双方を十分に追求できるようにしなければいけないのではないでしょうか。