鈴木敏文氏、流通人生・退任劇・将来を語る(上)「あらゆるものに寿命があるチェーンストア理論も駄目になる」

 今振り返ってみればそうかもしれません。業界にいろんな矛盾があるんじゃないか、開拓されていない点があるんじゃないかと自分で考え、挑戦してきました。

──コンビニエンスストアを日本に根付かせました。

 きっかけは、ヨーカ堂の出店に、地元商店街から猛烈な反発があったことです。大型店が出店すれば小型店の存立が危うくなるというのが理由だったのですが、もっと根本的に考えると、小型店が時代の変化に対応できていなかった。だから、変化に対応すれば共存できるという発想ですよ。

 そんな折、米国視察でセブン-イレブンに出会った。帰国して資料を見たら、当時のサウスランド社は約4000店を運営して利益を上げ、米国の大手小売業に負けていなかった。そこで提携し、ノウハウを得ようとマニュアルを翻訳してみたら、清掃の仕方とかしか書いていなかった(笑)。

 だけど、提携した以上、ロイヤルティーの支払いもある。だったら時代の変化に対応できる店を作ろうと考え、試行錯誤の末に鍋釜や食品、雑貨などをそろえた小型店をオープンさせたのです。

──コンビニは時代の変化に対応できたから成長したのですね。

 そうです。でも、これからも時代の変化に対応できないと駄目になりますよ。みんな言うんですよ。「コンビニの時代も終わった」とか。そうじゃないんです。時代の変化に対応すればいいだけ。業態の問題じゃないんだよ。

──「変化対応」の考え方はどこから生まれたのですか。

 それは、歴史を見りゃ分かるでしょう。昔から世の中は常に変わっている。従って、従来の延長線上のままでいては駄目なんです。コンサルタントなどは、よく、過去の現象を引き延ばして物事を考えます。僕はそれでは駄目だと言っている。セブン-イレブンの立ち上げのときに僕が言ったことは「絶対にイトーヨーカ堂のまねをしちゃいけないよ」と。

 私の哲学というか、常に頭にあるのは、あらゆるものには寿命があるということ。チェーンストア理論も駄目になるでしょう。

──チェーンストア理論が寿命を迎えた後はどうなると考えますか。