「悪口」はもってのほか。
穏やかな表情と、思いやりのある言葉を使う
以前、1000人以上の社員数をほこる自動車販売会社の15周年記念式典で講演させていただいたとき、私は、「社長と社員の間に、相思相愛の関係ができていて、すごいな」と感じました。
その社長とは、何度もメールでやりとりをさせていただきましたが、メールの文面には、「社員を大切に思う気持ち」が、いつもあふれていました。
なぜならば、どのメールにも、
「社員がよくやってくれているので、助かります」
といった、社員をねぎらうひと言が添えてあったのです。
一方、社員の方々は、まるで「社長の応援団」のように私には映りました。
1000人規模の記念式典を開こうとすると、準備も簡単ではありません。
私が「お疲れではありませんか?」とお声がけすると、社員のみなさんは口をそろえて「社長を喜ばせたいので!」と明るく答えてくださいました。
社長は社員を信頼し、社員は社長を信頼する。社長と社員の一体感が、その会社の魅力だと私は思います。
その社長が、社員から応援される理由のひとつは、「和顔愛語(わげん・あいご)」を心がけているからではないでしょうか。
「和顔」とは、和やかな顔、穏やかな顔のことです。
「愛語」とは、思いやりのある話し方で人に接することです。
江戸時代の名僧、良寛和尚(りょうかん・おしょう)は「和顔愛語」を実践し、「私の口から出てくる言葉は、人の心を励まし、勇気づけ、あたたかくする贈り物でありたい」と考えていたそうです。
同じようにその社長も、「社員を思うあたたかい気持ち」を自分の言葉に乗せています。
だから、社員の心を惹きつけているように見えました。
その社長や良寛和尚のように「和顔愛語」を心がけていれば、脳は「自分がやさしくされている」ような感覚を覚え、明るく、楽しく、前向きな気持ちを持つことができるのです。
言葉を変えれば、そこから、必ず、人間関係も変わりはじめますよ。