拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第4回の講義では、「技術」に焦点を当て、拙著、『ダボス会議に見る世界のトップリーダーの話術』(東洋経済新報社)において述べたテーマを取り上げよう。

「世界最高のスピーチ競演の場」とも言えるダボス会議において、「最高の話術を持つ政治家」と評されるのが、トニー・ブレア英国元首相だ Photo:Reuters/AFLO

世界最高のスピーチ競演の場「ダボス会議」

 今回のテーマは、

ダボス会議で学んだ「最高の話術」の秘密は「聴く力」。

 この逆説的なテーマについて語ろう。なぜ、「話す力」の秘密が「聴く力」なのか、その逆説である。

ダボス会議とは、スイスに本拠を置く世界経済フォーラム(World Economic Forum)が、毎年1月に、スイスのリゾート地、ダボスにおいて開催している国際会議である。この会議には、世界各国の大統領や首相を始めとして、世界的企業の経営トップ、国際組織の代表、世界的に著名な学者などが一堂に集まる。

 著者は、世界経済フォーラムのGlobal Agenda Councilのメンバーを務めていることから、これまで何度も、このダボス会議に出席し、英国のトニー・ブレア、ゴードン・ブラウン、デイビッド・キャメロン元・現首相や、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フランスのニコラ・サルコジやフランソワ・オランド元・現大統領、米国のビル・クリントン元大統領やアル・ゴア元副大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領などのスピーチを間近で聴いてきた。

 これらの国家リーダーは、さすがに一国のリーダーだけあり、いずれも、それなりの見事な話術を持っているが、そのため、ダボス会議とは、ある意味で、「世界最高のスピーチ競演の場」とも言える。

 しかし、その競演の場においても、衆目一致して「最高の話術を持つ政治家」と評されるのが、トニー・ブレア英国元首相である。

 そこで、今回の講義においては、著者が、ダボス会議の様々なセッションで、このトニー・ブレアのスピーチを聴きながら、彼から学んだ「話術の奥義」について語ろう。