「ガリガリ君」工場見学はなぜ倍率500倍の大人気なのかガリガリブルーの作業着に身を包んだスタッフがたくさん。こちらに気づくと手を振ってくれる方もいた
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 銀色に光る設備の間を、「ガリガリブルー」と呼ばれる作業着に身を包んだスタッフが、忙しそうに立ち働いている。ガラス越しに上から眺めると、なんだか近未来の工場に潜入したような気分にもなる。

「工場内の室温は何度くらいなんでしょうか?」と、編集担当H女史が箕輪さんに尋ねる。「20度くらいなので、寒くはないです」。ガラス越しでもかすかに機械音が漏れ聞こえてくるくらいだから、中はけっこううるさいはずだ。

「それにしても人が多いですね」

 最近の工場は機械化されて、人が少ない。しかし、ここは見るからに手作業も多そうだ。

「ガリガリ君」工場見学はなぜ倍率500倍の大人気なのか箱詰めをする人のスピードはまるでロボットのように高速だった! Photo by T.U.

「今日は切り替え中のラインがあるので、どうしても。それと、カップアイスなどは種類が豊富で、その都度、トッピングやソースを変えないといけませんので、自動化するよりも人間がやった方が効率も良く、コストもかからないんです」(箕輪さん)

 萩原さんの説明によると、「本庄工場はもともと薄利多売の工場なんです」とのこと。それまであった深谷の工場は設備も老朽化し、増産するには多くの人手も必要とした。そこで、「なるべく人手をかけずにガリガリ君を作れるようにしよう」というのが、新工場建設の大きな目的の1つだったとか。

 つまり、これでも以前よりは、人手がいらなくなっているということらしい。

 さらに、「ここは、値上げを我慢するための工場でもあったんですよ」と、萩原さんが補足する。

「ガリガリ君」工場見学はなぜ倍率500倍の大人気なのか見学通路は天井に巨大ガリガリ君がいるなど、歩くだけで楽しい Photo by T.U.

 改めて調べると、工場建設を検討していた2007年当時の売上高は232億円。初年度は、その約半分の100億円を工場建設に充てる計画だった。社運をかけた新工場建設計画に、当然、役員会は大紛糾。最終的に決断できたのは、当時社長だった現会長の、こんなツルの一声がきっかけだったそう。

「否定的な意見が多いのはわかる。でも、だからやる!」

 井上会長は売上高40億円の時にも、22億円の設備投資費がかかる工場建設を決断している。オーナー企業でなければ、難しかっただろう。

「じつは、工場完成後も複数回にわたってラインを増設していますから、最終的な投資額は合計で200億円くらいはいっているんじゃないでしょうか」と、萩原さん。

「ガリガリ君」工場見学はなぜ倍率500倍の大人気なのかスザンヌとイチローも大活躍 Photo by T.U.

 ちなみに、ライン終盤に配置されていた箱詰めロボットには「あいちゃん」「りょうくん」「スザンヌ」「イチロー」といった、いつかどこかで聞いたような名前が付いているのだが、これは「建設当時の工場長が趣味で名付けた」とのこと。「機械にも名前があった方が愛着がわくだろう」と考えたから、らしい。

 文字どおり機械的に働く「あいちゃん」「りょうくん」の向こうで、スタッフも懸命に箱詰め作業をしている。流れてくるアイスを両手で瞬時に束にして、タテ、タテ、ヨコと3段階に分けて32本入りの箱詰めにする様は芸術的でさえある。見ていたら、思わず、こう叫びたくなった。

「人間、頑張れ!」

 1時間あたり1万本を処理する熟練の技は超人的でもある。