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参院選は惨敗、都知事選は準備不足 

 参院選が終わって、政治の関心は都知事選に移った。今回の都知事選は、もともと首都東京の顔としての都知事の存在感の大きさに加えて、2020年の東京オリンピックの準備を遂行する知事としての重みもあり、格別に注目される。

 さて、気持ちは都知事選に向かいつつも、終わった参議院選挙の結果を整理しておく必要があろう。今回の参院選は、与党二党が改選議席から勢力を伸ばしており、野党が阻止を掲げた「改憲勢力による三分の二」獲得がなされたことを考えると、与党の勝利であり、野党側の敗北と捉えるべきだ。

 民進党の岡田克也代表は、大惨敗した前回参院選の獲得議席数よりも改善していることをもって、今回の結果を「善戦」と捉えているように見受けるが、これは全く不適当だ。

 現在、都知事選の真っ最中なので、今、辞任を表明すべきだとは思わないが、都知事選後の遠くない時期に、岡田氏は民進党の代表を辞任すべきだと筆者は考えている。

 また、率直に言って、都知事選に対する対応もまずい。過去数ヵ月の動きを見ると、舛添前知事が長くは保たないことは、彼を攻める側にいた民進党としても十分分かっていただろうし、知事が辞任してからも、最大野党である民進党は候補者選びを主導すべきだった。結局、石田純一氏、古賀茂明氏などの名前が上がったものの、最後に手を上げた鳥越俊太郎氏が、おそらくは彼の高い知名度と、「是非とも自分がやりたい」という個人的な意志の強さが評価されて野党側の候補となった。

 しかし、選挙戦が始まってからの評判がいいとは言えない。いかに短期間に決まったとしても政策的な準備が乏しく、記者会見や演説の際に失点を重ねている。また、そもそも高齢であることと健康状態の問題から、十分な選挙戦が行えるかどうかも危ぶまれている。いずれも推薦の主体となる党が、事前にチェックすべき問題だし、不足有りと見た場合にはこれをカバーすべき問題だ。

 つまり、二つの重要な選挙で、民進党は十分機能していない。

 本連載で何度も書いているように、筆者は、野党が与党にとって十分な脅威となるような実力(議員数でも、政策の内容でも)を備えた存在であることが、日本の政治の健全性にとって是非とも必要なことだと感じている。

 そのために、現在の最大野党・民進党の党首である岡田氏に、辞任プラス・アルファの貢献を期待したい。