Photo:つのだよしお/アフロ

憲法改正の発議がかかった参院選が終わった。いわゆる改憲派に軍配が上がったが、果たして、国民の審判が意味するものは何なのか。野党共闘はどの程度の効果があったのか。そして、今後の日本の政治はどのように動くのか。個別の選挙区の「票の動き」を分析しつつ、解説したい。(政治ジャーナリスト 松井雅博)

「改憲派」が勝利
野党共闘も一定の効果あり!?

 暑い夏の選挙で、国民の審判が下った。

 参議院議員選挙の結果、自民党と公明党は議席を増やした。

 自民党・公明党の与党で146議席。おおさか維新の会の12議席、日本の心を大切にする党の3議席と合わせれば161議席となり、「改憲派」と思われる無所属を合わせれば参議院において改憲の発議要件となる3分の2(162議席)を達成できる状況となった。

 公示日に公開した筆者の記事「ほぼ無意味な参院選に、それでも投票へ行った方が良い理由」でも解説したとおり、参議院議員選挙はその制度ゆえに有権者の投票が議席に与える影響はあまり大きくなく、ほとんど想定内の展開になってしまう。筆者が例示した埼玉県選挙区もやっぱり無風で、予想通りの結果に終わった。

 しかし一方で、野党共闘が予想以上に効果を発揮した選挙区があったのも事実であり、筆者の想定外の結果となった選挙区を中心に今回の選挙の持つ意味について解説したい。

野党共闘は成果あり
ただし、岡山県では民進党大敗も

 まず、参議院議員は242名いるが、3年ごとに半分の121名ずつ改選される。

 その121名のうち、73名が都道府県を基準とした「選挙区」から選ばれ、48名が日本全国の有権者を対象とした「全国比例」から選ばれている。