【目的3】ファンド利益分配の最大化
ファンドをSPC(special purpose company、特別目的会社)で設立したとしよう。SPCの利益が設立国で課税されたら?あるいはSPCの分配金が、例えば配当所得として源泉徴収される国だったら?そうなると、当たり前だが「出資者の手取額」が少なくなる。TH会社には、このようなデメリットがない。
【目的4】匿名性の活用
いわゆるノミニー制度の利用で匿名性が高まる。ノミニー制度とは、主として情報保護目的とした制度で、真実のオーナー情報を登記しないで第三者名義で法人登記ができる。株主や役員について、代理人名義で法人設立から運営までできる。公職にある者や富裕層など、世間に投資活動などをあまり知られたくない立場の人達には「持って来い」の制度なのである。
もちろん租税回避目的もある
以上4つの目的の他に、言語道断ではあるが、タックスヘイブンを利用して租税回避しようという輩もいるであろう。タックスヘイブンはオフショア(外国)であること、先に述べたノミニー制度の悪用により、本国からは「見えにくい」存在となることができる。また、TH法人への直接の税務調査権限は、本国税務当局にはない。
本国株主の法人税または所得税の税務調査の現場で、専門家や租税回避プロモーター、ファンドハウスからのステートメントなどから、TH会社の存在がバレるというのが一般的な調査発見事例である。
今後は、タックスヘイブンとの租税条約の締結が進み、情報交換がさかんに行われるようであるから、租税回避なんて考えないほうがいいだろう。