ANA客室乗務員12年。500万人のお客様から学んだ「気がきく人」の1秒の習慣。その業界でダントツの成果を上げている人に共通していたのは、ほんの「1秒」という時間の中で判断を下し、非常に「気がきく習慣」をいつも実行しているということです!

上司は「自分が好かれたいために、
相手をほめていると思われるのが嫌」と思っている

 コミュニケーションにおいて、「ほめる」ことの大切さはよく知られていますが、「なぜ、ほめる必要があるのか」、その理由に気づいていない人が多いように思います。

 ある大手企業の局長が「ほめるのは好きではない」というので、その理由をうかがうと、

「自分が好かれたいために、相手をほめていると思われるのが嫌だ」


とおっしゃっていました。

 この局長のお気持ちもわかりますが、私ならこう考えます。

自分のためにほめるのではなく、「相手のため」にほめるのです。

 なぜならば、ほめるという行為は「相手に自信を持たせるため」であり、「相手の背中を押してあげるため」だからです。

 もちろん、相手の成長を望むなら、ときには厳しい指摘をしなければいけないこともあります。

 ですが、怒るだけでは相手を萎縮させてしまいます。自信を持たせることが目的なのに、逆に、自信を失わせてしまうかもしれません。

 心理学者の中には、「ポジティブな感情とネガティブな感情がおよそ3:1の比率になっていると、人は意欲的に働くことができる」という研究結果を発表している方がいるそうです。

つまり、「1回叱ったら3回以上ほめることが必要で、それ以上、叱ってしまうと、人は自信を失う」というのです。

 比率がいくつであれ、人の成長には、「叱る」よりも多くの「ほめ」が必要であると私は考えています。

 なぜなら、研修中、ほめることで多くの受講生が自信を持つ場面に、何度も出会っているからです。