岡田代表の突然の代表選不出馬表明の裏に何があったのかは明らかではない。だが、江田憲司氏が「旧維新」のグループを結成するなど、野党共闘路線に異を唱える動きが次々と出てきて、党内の掌握が困難になり、代表選に出ても勝機がなくなったと考えたのかもしれない。また、都知事選を通じての岡田代表のやる気のなさと、最終日の敵前逃亡的な辞任表明から推測すると、統一候補選定の過程で、なにか重大な問題が起こっていたということも考えられる。いずれにせよ、民進党の党内ガバナンスは、ほとんど崩壊し、野党第一党とは思えないほど、支離滅裂な選挙戦となってしまったように思える。

東京都政となんら関係がない「護憲」「脱原発」を訴えて
「万年野党への道」を歩む愚

 この連載で、何度でも繰り返しているが、野党共闘はすぐにでもやめたほうがいい。なによりも、政策がサイレントマジョリティである中流の市民に全く共感を得られないものだからだ(第115回・下・P3)。民進党は、一部の左翼の大きな声を、国民全体の主張だという勘違いに気づくのだろうか。

 都知事選でも、鳥越氏は「護憲」「脱原発」を繰り返し主張した。それ以上に、鳥越氏を応援した共産党の小池晃書記局長は、小池百合子氏について「自民党以上にタカ派的な主張だ」と指摘し、「『改憲右翼団体』の日本会議で副幹事長を務めた経験があるし、平成15年には毎日新聞のアンケートで核武装を検討すべきだと主張されている」と厳しく批判した。

 しかし、たとえ小池氏が「筋金入りのタカ派」だったとしても、それが都知事選となんの関係があるというのだろうか。都知事は、国家の安全保障にも、憲法改正にも、何も権限を持っていない。小池氏がどんな思想信条を持とうとも、都知事としてはなにもできないのだから、都知事の資質とはなにも関連がない。なにより、都民の生活とは全く関係のない話だ。共産党が、このようなほとんど素人レベルの誹謗中傷に近い話をするたびに、サイレンントマジョリティに愛想をつかされてしまうのである。

 参院選で、野党共闘は「改憲勢力による衆参両院3分の2の議席数確保」を阻止できなかった。これは戦後70年、野党が保守陣営による憲法改正・再軍備を阻止するための、最低限の目標であり続けたものだ。自民党一党支配が続いた55年体制下でも、野党はこれだけは死守してきたのだ。それが崩れたのだから、参院選は「戦後最悪の大惨敗」だったと結論付けるべきだ。

 そして、今回の都知事選では、与党側の分裂選挙という好機を全く生かせず、共産党に引きずられた民進党の党内ガバナンスの崩壊という形で、野党統一候補は自滅し、再び大惨敗を喫した。何度でも言うが、共産党と組むことは、「万年野党への道」である。即刻、野党共闘は解消せよと、強く主張しておきたい。