潜在意識の力はどんな考えも増進させる

 マーフィーは「成功か失敗か、健康か病気か、幸福か不幸か、富か貧困かを決定するのは、人々が心のなかに抱く信念なのです。富は心的態度であり、貧困もまた心的態度です」と言っています。

 マーフィーは牧師ですが、聖書の「処女懐胎」や「復活」などの奇蹟を否定しています。聖書に出てくる奇蹟のエピソードも寓話的な比喩だというのです。聖書に出てくる「主」とはあなたの「潜在意識の力」だとも言っています。

 自分の願いを絶えず考えることで、自分の潜在意識の黒板にそれを書き込むことができ、そのおかげで願いが叶うというのです。

 潜在意識の力は、そこに植えられたどんな考えも増進させます。健康、富、愛、豊かな生活などの良いものを考えていれば、それを経験することができるのです。

 反対に、「自分は貧しい生活しかできない」「人生の良いものは自分のものではない」と感じているならば、その人は、欠乏とフラストレーションのなかで生き続けることになります。

 そうやって、お金持ちはますますお金持ちになり、貧乏人はますます貧乏人になっていくのです。

愚直にやってみるしかない!

 マーフィーの著書のなかでこんなエピソードが紹介されています。仕事がうまくいっていなかった女性の話です。彼女は自分のために「宝の地図」を書きます。

「世界旅行に感謝します」
「私と完全に調和する、素晴らしい男性に感謝します」
「美しい調和のとれた家に感謝します」

 とノートに書いたのです。そして、彼女は朝と、昼と、晩に、瞑想しながらそれらをイメージし潜在意識に書き込んでいきます。

 すると1ヵ月後、ニューヨークの大叔母さんが遺言で彼女に15万ドルの有価証券を送ってくれたのです。その2日後に、彼女の勤めていた会社は倒産しますが、彼女の両親が一緒に世界旅行をしないかと招待してくれます。その旅行中の東京で、サンフランシスコから来ていた若い科学者に出会います。彼女はその男性と結婚し、今では彼が所有する丘の上の太平洋を見下ろす家に住んでいます。つまり、宝の地図に書いたことが、すべて叶ったのです。

 願望を紙に書くこと、そして、そのことを声に出して、生き生きと視覚化することをマーフィーは勧めています。

 実は私も手に入れたい現実を夢見ながら計画を立てるようにしています。人生を90年と見て、10年ごとにざっくりとやりたいことを書いていくのです。この作業をするだけでも、自分の願いが何なのかを明確にできるので、大変役立っています。

 多くの人は、「マーフィーなんてまやかしだろ」とか「潜在意識なんて、科学的根拠は何もないじゃないか」とバカにして終わります。でも、騙されたと思って愚直にやってみてください。きっとその効果にびっくりするはずです。

参考文献/『新装版 人生に奇跡をおこす』ジョセフ・マーフィー著 玉木薫訳(産業能率大学出版部)