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データサイエンティストの冒険

インバウンドはここからが勝負
「訪日リピーター」をどうやって育てるか

――「爆買い」から「体験」へつなぐデータ戦略

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第16回】 2016年9月15日
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訪日客の不満NO.1は
使える無料公衆無線LANの少なさ

 たとえば、日本人と訪日客の意識のズレを象徴しているものとして挙げられるのが、諸外国に比べ普及率が低い無料公衆無線LANがあります。

 訪日客へのアンケートで、日本での観光中にもっとも困ったことを尋ねると、実に訪日客の46.6%が、接続できる公衆無線LANが少ないことを挙げているのを皆さんはご存じでしょうか。

 スマートフォンやタブレット端末が世界でこれだけ普及しているにも関わらず、有料サービスを使わなければ情報収集すらままならない状態は、訪日客にも、国内の観光産業にも健全とはいえません。

 とくに訪日客の誘致に悩む地方にとってインフラ整備は重要なポイントなのですが、これまで大きな進展がないのが実情でした。

 こうした訪日客の顕在化した不満を解消しつつ、日本でのインバウンドビジネスを活性化するために生み出されたのが、KDDIグループのワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が提供するサービス「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」です。

 本サービスで提供される同名のアプリ「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」は利用者を訪日外国人のみに限定する仕組みで、英語、簡体中国語、繁体中国語、韓国語、タイ語の5ヵ国語に対応。ガイドブックに載っているような観光に飽き足らず、より新しい体験を求めている訪日客に、Wi2が提供する全国最大20万カ所以上のWi-Fiスポットへの無料接続機能と、これら5ヵ国語による観光情報や街中の店舗からのおススメ情報が配信されることで、行動範囲を広げてもらいつつ、訪日外国人のための「情報ポータル」の役割を担わせることを期待したサービスです。

 一方、このサービスを利用する自治体や企業には、訪日客が提供に同意した自身の位置情報や属性情報などの匿名化されたデータに基づいて、「どの地域に」「どの国籍の外国人が」「何人いるのか」等など、細かな分析が施されたレポートが提供され、インバウンド施策の立案や改善に役立てるわけです。この位置情報の分析には筆者を含めた、アクセンチュアのアナリティクスチームが担当しています。

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工藤卓哉
[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence グローバル統括 兼
アクセンチュア アプライド・インテリジェンス マネジング・ディレクター
ARISE analytics Chief Science Officer (CSO)

慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年11月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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