【第二条】 インカムゲインにこだわるな。

 高齢者向けの運用法あるいは運用商品として勧められていて、高齢者の運用を歪めている要素として最大(つまり同時に「最悪」でもある)のものは、利息・配当・分配金などの定期的現金収入、いわゆる「インカムゲイン」に対するこだわりだろう。

 毎月分配型の投資信託が仕組みとして非合理的でかつ現実の商品として損な(手数料が大きい)ものであるかについては、本連載でも何度か書いてきたが、何と、父の証券口座を見たところ、毎月分配型の投資信託が数百万円入っていたのには心底驚いた。息子の本や原稿よりも、証券セールスのご説明の方が、説得力を持つらしい。

 なお、毎月分配型の投資信託は、買った値段に関係なく、即刻解約して構わない。

 株式でも投資信託でも、運用は、インカムゲインとキャピタルゲイン(と税金や諸費用も)を「合わせて」判断するのが、運用の絶対の基本の一つだ。

 しかし、インカムゲインの方が健全なリターンであり、特に高齢者には望ましいとする先入観は強力だ。キャピタルゲインの場合、それを手にするには元本の一部を売却しなければならないが、「元本を取り崩す」というイメージに不健全性を感じる人が多いのだろう(1960年代くらいまでは、米国の金融・保険業界でもそのようなイメージが持たれていたようだ)。

 この先入観のまま書かれた書籍などが、後代の書き手に誤った先入観を伝え、それを金融界は利用し続けているという構図になっている。

 今や、先進国は内外共に低金利だ。高齢者にあっても、分配金などのインカムゲインが魅力的に感じられるほど大きいことを「不気味だ」と感じるくらいが、ちょうどいいリスク感覚だ。