このためには、5年生存率の推移を振り返るしかないが、がん登録は最近になって広がってきているだけなので全国レベルの一定程度長い時系列データは得られない。そこで、長くがん登録事業を続けている大阪府の時系列データを次に掲げた。

◆図4 主要ながんの治療成績の推移(大阪府)

  がん全体(全部位)では1976前後3カ年(以下1976年と略す)に診断・発見されたがんについて5年生存率は30.7%であったが、30年以上経過した2008~09年診断のがんについては60.3%と大いに向上している。かつてがんは不治の病と見なされていた。政治家はがんと疑われただけで失脚した。今ではがんの手術を何回も行って快復した者が都知事選の有力候補となるということが実現するようになった。30%と60%という値の違いが持つ意味は大きいといえよう。

 この図で、診断年が1991年までは大阪市を除く値であり、1994年以降は大阪府全体の値である。この間に時系列上の断層があるので注意が必要である。1994年の全部位だけについては大阪市を含んだ値と含まない値を両方掲げたおいたが、5%ポイントほど大阪市を含んだ方が成績が良いようである。全部位以外では点線で断層を示してある。

 生存率が延びてきたテンポについても、ほぼ一貫して延び続けている印象がある。2000年から2009年までで51.3%から60.3%へと9%ポイントの延びであるので、このままのテンポで延びているとすると10年で10%ポイントほど上昇している可能性があると判断できよう。

 ほとんど全ての部位のがんで値は上昇している。これは、診断技術の進歩や検診体制の充実により、がんが早期に発見される場合が増えたのとがんの治療技術が進歩したのと両方の理由によるものと考えられる。しかし、部位による差は大きい。前立腺は半分ぐらいだった生存率が100%に近づいているのに対して、膵臓は、なお10%未満で低迷している。