想像がつくものでは
お客を引き寄せることができない

 なかでも、観光名所化するよう打った施策が面白い。

「例えば、全国各地には必ず、名産品がありますよね。その素材を、揚げたてポテトチップスの味付けに使用するのです。7月15日にオープンした心斎橋店のたこ焼き味のポテトチップスは、期間と店舗を限定して販売すると、物珍しさに写真を撮ってくださるお客様が大勢いらっしゃいました。ほかにも、ぬれ煎餅のような『ぬれじゃが』、オリーブオイルで揚げたポテトチップス、さらにはチョコレートがかかった揚げたてポテトチップス等も販売しており、商品は次々と入れ替えています」

チョコがけの揚げたてポテチという”むちゃぶり”こそが人気の源泉。事業開発本部の柳田晶代氏は「全国各地の名産品を揚げたてポテトチップスの味付けに利用している」と話す

 ポテトチップスにチョコとは、これまた“むちゃぶり”だ。しかし、この“むちゃぶり”があるアンテナショップこそが、人気を博しているのだ。

 仮に『日本橋だし場』の商品が「本物のだしを使ったおみそ汁」や「だし巻き卵」だけなら話題にならなかったかもしれない。『カルビープラス』の商品が単なる「揚げたて」だったら、行列ができるほど人気化しなかったかもしれない。

 実を言うと『体験』は“むちゃぶりだからこそ面白い”のだ。情報が氾濫した世の中では、想像がつくものは「体験したい!」対象にはならない。

 その好例が、自治体のアンテナショップのなかでも苦戦している店だ。訪ねても、地域のお菓子やお酒が売っているだけ。いずれもamazonや楽天で買えるものばかりでは、わざわざ足を運ぶ価値はない。

 しかも『日本橋だし場』や『カルビープラス』は、工場見学ほど重くないが“あとで製造法をネットで調べてみよう”と思える程度に奥深さを感じさせてくれる。カルビーの柳田氏が話す。

「お客さまは製造工程を目にすると、まず商品を“理解”してくれます。さらに、製造工程の中で企業の努力を目にすると、理解は“共感”へと変わるのです」