部下を誉めることが最も効果的だとわかっても、「どう誉めればいいのか」と悩む上司は多い。金メダリストを育てコーチなど、誉め上手の上司から学ぶ3つの効果的な誉め方を紹介する。
誉め上手になって部下のヤル気と達成感を引き出せれば、自然と部下もついてくるようになる
前回は誉(ほ)めることこそ、最高の指導方法だと言いました。誉められて気分を悪くする部下はいません。しかしなかなか上手に誉められないのが上司の悩みです。
部下が甘くなるから意識して誉めないという人は別ですが、多くの上司はできることなら部下を誉めてやる気を引き出したいとは思っています。
それでもタイミングよく誉めることができないという悩みを持つ上司が多くいました。
忙しいとき、焦っているとき、急ぐとき、体調が悪いとき、自分が失敗したときなど、誉める言葉が出てこないようでした。
要するに精神状態が悪いときは誉められません。心に余裕がないと部下を誉められないものです。
誉め上手な上司の誉め方を紹介しましょう。
(1)ポンポンと誉め言葉を連発しています。
「凄い」、「素晴らしい」、「よくやった」、「君だからできた」、「最高」、「よしそれでいけ」、「さすがだ」。
このような様々な誉め言葉を、その場その場でだれに対しても声かけしていきます。言われた部下はあまり内容がなくても明るい気分になれ頑張ろうと思います。
(2)部下の良いところを重点的に絞って誉めています。
部下が認めてもらいたいと思って努力していることを誉めています。「M君は1時間早く出社し資料の整理をして立派だ」、「K君はクレーム処理が丁寧だ」などです。
具体的に例を挙げて説得力豊かに誉めれば部下は自信を持ちヤル気になり、認めてくれた上司に好感を持つのは間違いありません。
(3)高等戦術を使って誉めています。
「Aさんは素晴らしい」と、Bさんに言って間接的にAさんの耳に入るようにする誉め方です。誉められた人は内容を膨らませて受けとめがちですから大きな効果があります。
また「Aさん、皆にうまくできた秘訣を教えてください」と間接的な表現で誉めるやり方をしています。直接的な誉め言葉はないし、具体的に誉められた感じもしません。しかし誉められたと同じ嬉しい気持ちになりますし、頑張ろうとやる気が起きてきます。自然と上司に好感を持ち信頼が高まります。誉める高等テクニックです。
「いいネクタイだね」でもいい、
誉め上手な上司に学ぶ誉め方とは?
誉め上手な上司のもとでは、部下はヤル気を出し能力を伸ばすことができます。自信を持ちのびのびとして力を発揮することができます。
リオオリンピックで、女子平泳ぎ200メートルの金メダルをとった金藤理絵選手は椎間板ヘルニアのために4年前のロンドンオリンピックを逃し現役引退も考えたそうです。
ところが、加藤健志コーチの励ましで、見事に復活したのです。弱気になった金藤選手に自信を与え、やる気を起こさせた加藤コーチの言葉は何だったのでしょうか。
繰り返しの誉め言葉であり、金藤選手に足を落とさず水平に上げて泳ぐという難しいテーマを与え、達成させて自信を持たせ、そして「できたじゃないか」と誉めたのです。
われわれの職場では、誉め上手な上司はいろいろなことを誉める対象にしています。
身近なことで言えば、容姿、服装、身だしなみ、身につけているものなどです。これらを決して大げさに誉めているわけではありません。さらりと誉めて好感度を上げているのです。「いいネクタイだね」「髪型が似合っているよ」のひとことなのです。
仕事ぶりや仕事の成果、その努力の過程は誉める対象として良い材料です。熱心に取り組んでいること、苦労していること、よくやったことなど見落とさず誉めてください。
物の見方や考え方がよいほうに変化してきたことなども誉めることが大切です。
最もレベルの高い誉め方は、困難なこと、難しいこと、できそうにもないことを激励し応援して部下にやらせ、達成したとき一緒になって喜んであげることです。部下を誉めることが最も効果的だとわかっても、「どう誉めればいいのか」と悩む上司は多い。金メダリストを育てコーチなど、誉め上手の上司から学ぶ3つの効果的な誉め方を紹介する。