だが、元統幕勤務の1佐が語ったこのオペレーションに、元陸将補のひとりは、「化学部隊を軸としたオペレーションは国民に化学汚染の不安を抱かせるもの。到底納得できない」と真っ向から反対する。そして「自分ならゴジラの特性を踏まえ、かつ自国民が放射能被爆に怯えることのないオペレーションを組み立てる」という。

「東京湾にゴジラが近づいたならば、海中にいくつか爆弾を打ち込みゴジラの足元を滑らせる。その際、航空機ではゴジラの好きな餌をチラつかせてゴジラの目を引く。ゴジラが転べば、すかさず埋立地を作る要領でゴジラをコンクリートで固める。核融合をエネルギーとするゴジラだからこそ、後生のことまで考えたオペレーションが必要だ」(元陸将補)

 これは、いわゆる「石棺」作戦か。いずれにしても、ゴジラの持つ核エネルギーをどう封じ込めるかが、作戦の要となるという見解のようだ。

「防衛省はわれわれの敵」!
現場自衛官と防衛省の温度差も

 こんな調子で記者のふっかけた“架空の話”にも、制服組の現役・元職自衛官たちは、「私人の立場」と前置きをした上で事細かく質問に答えてくれた。だが防衛省本省の職員からは最後まで、具体的な話を聞くことはできなかった。

 実際にゴジラが現れた際、第一線部隊として投入される特別警備隊に所属していた隊員のひとりは、こう息巻いた。「たとえ架空の話でも、我々は想定しうる敵をどう倒すかを常に考えなければならない。それを示せない防衛省は敵だ――。安全保障は我々に任せてもらいたい」。

 防衛省が「敵」だとは穏やかではない発言だが、制服組、つまり現場自衛官と、事務方である防衛省職員のすれ違いが垣間見えた瞬間だった。脅威が迫り来れば、わが国の安全保障は待ったなしだ。新安保法制以降、その権限が縮小されつつあるといわれる防衛省と、これまでにないほど士気旺盛といわれる自衛官たちの意識の差が、この言葉に詰まっているかのようだった。