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パソコンはオワコン?を覆して
黒字化したVAIO社の生きる道(上)

――長野県安曇野市の最新鋭工場を見る

大河原克行
【第122回】 2016年8月26日
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生産・検査設備の
スペックはトップクラス

 例えば、基板製造ラインは、7本の生産ラインを持っており、これを24時間フル稼働させれば、年間559万枚もの基板を製造する能力を誇る。そして、EMCサイトは、3メートル法に対応した電波暗室が2室あるほか、投資額で1億円規模となるRF(高周波)測定室も持つ。社員数240人、資本金10億円の会社では、持てないような設備が相次ぐ。

 今回の取材では、実際に基板製造ライン、PC組み立てライン、環境試験室、EMCサイトも見学した。

基板は、キャリア(シルバーの枠)に乗せてから部品をはんだ付けする。そうすることで、基板の大きさ目いっぱいに部品を置くことができるなど、メリットが多い

 VAIOの基板実装ラインの特徴は、キャリアと呼ぶプレートを使用した生産を行っている点だ。

 キャリアとは、アルミ製のプレートであり、そこに基板をはめ込んで、部品を実装する。他社が行う基板製造の多くは、生基板のまま部品の実装を行うが、キャリアを採用することで、実装作業中に基板が反るという課題を解決。複数のボードをキャリア上に埋め込んだ生産や、より小型化した基板の生産が可能であるほか、そして、基板のぎりぎりの位置にまで部品を実装できるといったメリットもある。品質と効率性を両立することができる製造方法だといえる。

 キャリアに装着された基板が投入されると、まずは2次元バーコードを印刷。これによって、出荷後も、どのボードにどの部品が搭載されているのかを管理するという。続いてクリームはんだを塗布し、ここで一度、はんだの量や高さなどを自動検査機で確認。「ひとつの作業ごとに検査を行うことで、早い段階で不具合を見つけ、品質確保につなげている」という。

最小で「0603」(0.6mm×0.3mm)の部品をはんだ付けできる装置

 続いて、4台のモジュラー型高速装着機と、2台の多機能部品装着機によって、各種部品を搭載。高速装着機では、約40秒で、約300点の部品を実装。「0603」と呼ぶ1.6mm×0.8mmの小型部品まで実装ができる。

 部品が実装された基板は、一度検査を行ったのち、リフロー炉に入り、最初は180度から、徐々に240度にまで引き上げて、はんだで部品を固定。ここでまた外観検査機で検査を行う。検査工程が多いのがVAIOの基板製造ラインの特徴だ。

 ここで基板の表面が完了。今度は裏面の実装を行う。工程は表面の工程とほぼ同じだが、CPUなどの部品は、この工程で搭載されることになる。

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