2014年7月の事業開始から3年目に突入したVAIO。当初は、ソニーブランドがつかないVAIOに対する価値喪失の懸念が指摘されたり、独自性を持たないVAIO Phoneの登場に不満の声が集まるといったつまずきもあったりしたが、PC分野では、フラッグシップモデルであるVAIO Zの登場や、起死回生とされたVAIO Phone Bizの投入で、VAIOに対する評価は上昇。さらに、ソニー時代からの資産を生かしたロボット生産などの受託事業への取り組みが功を奏し、2年目にして黒字化を達成。3年目は、PC事業、受託事業に続く、第3の事業を創出し、成長路線を加速するという。同社の事業戦略を追った。

大田体制1年で成し遂げた黒字化

VAIOの大田義実・代表取締役社長

 VAIOは、設立2年目の2015年6月、これまでIT業界での経験がない大田義実氏を社長に招聘した。ニチメン(現双日)出身で、サンテレホンやミヤコ化学の再生を手掛けた手腕が買われての登板。その手腕は早くもVAIOで発揮され、2015年度の実績は、売上高が前年比2倍以上、営業利益は前年度の20億円の赤字から黒字転換した。

「この1年、VAIOの強みを発見し、それを伸ばすことによって成長しようと考えた。VAIOが持つ強みは、設計・製造技術、経験豊かな人材、ブランドの3つ。それを生かすことが成長につながった」と、自らの取り組みを評価する。

 この1年に渡って、大田社長が取り組んできたのが、「自立」と「発展」の2つの切り口だった。

「自立」では、「設計、製造から販売、サポートまでの一貫した体制」「収益責任を持つ体制への移行と、社員一人一人の意識改革」の2点をあげる。

 創業当初、VAIOの製品は、ソニーの販売、マーケティング子会社のソニーマーケティングが担当していた。従来の販路を活用できるというメリットはあったものの、ソニー時代と同様に、販売することに対する責任を負わない姿勢が蔓延していたことに、大田社長は危機感を持った。

「自ら作ったものを、責任を持って売らなければ会社ではない」と大田社長は社内に宣言。企画、設計、製造から販売、マーケティング、サポートまでの一貫した体制を構築する一方、営業部および技術営業部を設置し、エンジニアが営業現場に出向き、顧客の声を聞き、それを商品企画に反映し、営業担当者に足りない商品知識を、商談の現場でカバーできる体制も構築した。

 さらに、収益責任の徹底にも力を注いだ。

「利益を出さなくてはいけないという意識はあったが、責任と目標が曖昧だった。そこで、ユニット長に営業利益までを含めた責任を持たせたほか、これまでのPC業界ではあまり行われていない、モデルごとの事業計画書と損益計算書を作成し、進捗状況を都度チェック。さらに、全社員に対して、前日までの機種ごとの販売台数、売上高、販売ルート別の状況を毎日レポートした。これにより、社員が数値意識を持つだけでなく、なにか問題が発生したときに、いまの状況が把握でき、すぐに対策を打つことができるようになった」という。