ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

パソコンはオワコン?を覆して
黒字化したVAIO社の生きる道(上)

――長野県安曇野市の最新鋭工場を見る

大河原克行
【第122回】 2016年8月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3
nextpage
旗艦モデル「VAIO Z」の組み立て作業

 完成した基板は、組み立て工程に持ち込まれる。組み立て工程でもVAIOならではの工夫が満載だ。現在、安曇野工場で組み立てを行っているのは、同社のフラッグシップ製品である「VAIO Z」である。

 組み立て工程は、天板組み立て工程、ボトムケース組み立て工程、基板検査工程、バッテリーパック製造工程に分かれており、これが1ヵ所でひとつになって、最終検査工程、梱包・出荷工程に向かうという構造になっている。多くのPC生産拠点が、一本のライン上で生産するのに比べると複雑なレイアウトになっているのが特徴だ。これは、VAIO Zの場合、組み立て前の前処理工程が多く、そのためにひとつのライン上では組み立て工程が構成しにくいという背景がある。多くの作業を自前でやることで、高い品質で提供するというVAIOの姿勢の裏返しともいえる。

 組み立てにおける品質へのこだわりのひとつが、東陽理化学研究所との協業で生まれたVAIO Zの天板の製造および納品体制の確立である。東陽理化学研究所は、1950年に創業した金属加工企業で、新潟県燕市に本拠を持つ。ソニー時代から長年に渡って協業してきた企業であり、VAIO Zでも、天板およびパームレスト部分を製造している。

 VAIO Zでは、マルチフリップモデルを用意しており、同モデルでは、天板部分が2つに分かれて回転。それによってノートPC構造にも、タブレット構造にも変化するのが特徴だ。この天板が2つに分かれる部分の質感、色味をあわせるために、プレス、ブラスト、分割、アルマイト加工といったすべての工程を、2つに分かれた天板がセットで作り上げられる。

 さらに、VAIOの安曇野工場に納品される際にも2つがセットの形でトレイに収められ、そのまま組み立て工程へと運ばれる。これにより、同じ質感を持った天板での組み立てが可能になる。こうした細かいところにも、協業企業を巻き込んで実現するところに、VAIOの品質へのこだわりがみられるといえよう。

 ちなみに、組み立て工程でも随所に検査工程が組み込まれており、随時、品質を確認している。最終検査工程では、専用の検査機で30項目の検査を行った後、社内の認定資格を持った作業者が100項目以上の検査を行った後に出荷される仕組みになっている。

previous page
3
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

大河原克行


IT&ビジネス 業界ウォッチ

IT業界で話題の新サービス・新製品のニュース、これから話題になりそうな新ツール、知っておきたい各種の統計調査……などなど、経営効率化に寄与するIT業界の今のうごきをレポートします。

「IT&ビジネス 業界ウォッチ」

⇒バックナンバー一覧