NHKにリークしたのは
宮内庁の「オモテ」か「オク」か?

 たしかに、セオリー的視点から見れば、宮内庁幹部の広報対応は場当たり的だ。しかし、「生前退位」という陛下のお気持ちを国民に届けるという目的遂行ということのみでいえば、実はかなり練りこまれた「戦略的な広報」だと言わざるを得ないのだ。

 いや、むしろ、宮内庁という自由も権限もない組織の弱みを逆手にとって、政治的正当性を持ちつつも国民に広く知らしめるという、高度な世論形成をおこなっているのだ。

 内部からのリークを必死に否定したのに、陛下ご自身の「お気持ち」表明で面目丸潰れとなった宮内庁の、一体どこに戦略があるのだ、と鼻で笑われるかもしれない。

 ネット上の愛国心溢れる方たちの多くは、リークは「オク」からという説を信じているようだ。宮内庁は「オモテ」と呼ばれる官庁機構と、「オク」と呼ばれる陛下の身の回りのお世話をする侍従職がある。つまり、陛下の「お気持ち」をかねてから知っていた「オク」の一部の人が、事なかれ主義の「オモテ」に対して不満を感じ、NHKにリークをしたというわけだ。

 また、「オモテ」の歴代トップには、警察庁、旧自治省、旧厚生省、旧建設省という内務系の事務次官クラスが就いていることに対し、「オク」は外務省の出向が慣例化していることから、かねてから両者のあいだには「溝」があるといわれている。そのパワーゲームが今回のリークにも結びついているのでは、という見方もある。

 ともに官僚組織では十分ありえる話だが、今回の「生前退位」というテーマに限っていえば、「オク」からのリークである可能性は低い。実はNHK報道が出た直後、「毎日新聞」に興味深い続報が出ている。

《宮内庁関係者によると、検討を進めていたのは、風岡典之長官ら「オモテ」と呼ばれる同庁の官庁機構トップ2人と、「オク」と呼ばれ、陛下の私的活動も支える侍従職のトップ2人。皇室制度に詳しいOB1人が加わり、皇室制度の重要事項について検討。「4+1」会合とも呼ばれている》(2016年7月14日)

 要するに、「オモテ」と「オク」は、一丸となって陛下の「お気持ち」を世に出すことを検討していたというのだ。いやいや、毎日のような「反日マスコミ」の書くことなど鵜呑みにできん、と疑心暗鬼となる方もおられるかもしれないが、この報道の信ぴょう性は高いと思う。