「お、ねだん以上。ニトリ」というCMでおなじみのニトリホールディングスの業績が絶好調だ。2016年2月期に29年連続増収を達成し、30期連続増収増益も視野に入っているという。なにがニトリを成功に導いたのだろうか。『ニトリ 成功の5原則』(朝日新聞出版)を出版したばかりのニトリホールディングス会長・似鳥昭雄さんに、その秘密を聞いた。

──子供のころは勉強が苦手で、お母さんにうそをつかれたそうですね

ニトリホールディングス会長・似鳥昭雄さん

 私は本当に勉強が苦手で、それで親を泣かせていました。成績表は5段階中の1と2ばかり。それで母に「成績っていうのは、1が一番よくて、その次が2なんだ」とうそを言ったら、母がそれを信じ込んでしまい、ご近所に「昭雄は勉強ができる。成績表は1と2ばっかりだ」と言いふらしていました。みんな、悪いと思ったのか何年間も本当のことを母に言わなかったのですが、あるときとうとう、「実は5が一番よくて、1が最低なんですよ」と言った人が出ました。母は「そんなはずはない!」と信じずに、学校の先生のところに行って問いただしたのです。そうしたら、「5が一番いいのだ」とわかりました。母は「親をだました」と泣いて怒り、私は叱られて、たたかれました。母が怒ったのは私の成績が悪かったからではなく、私がうそをついたからでした。

──落ちこぼれだった似鳥さんが、ニトリを創業するに至るには、何があったのでしょうか?

 学生のときは落第生で、サラリーマンをやっていたときにも営業成績は最低。そこもクビになって、一度はこき使われるのが嫌で逃げ出した父の会社に戻っても、火事を起こしてやめることになり、他にやることがなくなって、お金を借りて始めたのが、ニトリです。30坪の店で、1階が家具売場、2階が私の住居という個人商店でした。1967年、私が23歳のときです。けれども全然売上が上がらず、赤字続きでした。

――しかし、2003年には、株式会社ニトリとして「100店舗、売上高1000億円、利益100億円」を達成します。