不適正工事が横行
行政は制御不能

 震災関連のアスベストが問題になっているのは、約1000万トン輸入されたアスベストの8~9割超が建材として利用されてきたからだ。過去に出荷されたアスベスト含有建材は実に4300万トン超。その多くが現在も全国各地の建物内に残存している。

 普段は人の目に触れる事はほとんどないが、熊本地震のような大規模災害時に突如として人びとに牙をむく。災害時に建物が損壊することで閉じ込められていたアスベストが落下、飛散することはもちろん、建物の修繕や解体作業が急激に増えるためだ。

益城町の解体現場で立ち入り検査をする熊本労働基準監督署の監督官と県職員。外壁などにアスベストを含有しているにもかかわらず、重機解体していた。原則手ばらしとされているが十分機能していない実態がうかがえる

 行政は手をこまねいていたわけではなかった。熊本労働局と熊本県、熊本市は「今回の震災では、アスベスト対策は最重要課題としてパトロールを強化してきた」と強調する。例えば労働基準監督署と県は7月以降、合同で毎週2回の立ち入り検査を実施してきた。市は「全件調査」をめざし、複数の班が毎日解体現場を回っている。行政が震災対策でこれほど重点的な取り組みをするのは初めてのことだ。

 その結果、監督署や県では5~7割の現場でアスベスト対策の違反が見つかり、指導した。特にアスベスト曝露に直結する、アスベストの事前調査を実施していなかったり、不十分だったりというケースが4分の1を占めていたことが監督署の立ち入り検査により判明した。

 だが、不適正な工事は後を絶たない。