アスベスト飛散疑惑で法廷の3分の1を閉鎖していた東京高裁・地裁は12月21日、閉鎖を解除し、通常通り法廷の使用を再開した。裁判所のホールに法廷の使用再開を告げる貼り紙はあったがアスベストの飛散疑惑については一切記述がなかった(12月21日撮影)

 昨年12月15日朝、東京高裁・地裁は突如として、計168法廷のうち約3分の1にあたる58法廷を閉鎖した。両裁判所が入っている東京・霞が関の合同庁舎でアスベストが飛散した可能性があるというのがその理由だった。しかし、裁判所の利用者には明かされず、関係者に法廷の変更などが伝えられただけだったという。

 同日正午前後から、東京高裁・地裁のアスベスト飛散疑惑をメディア各社が次々報じた。「一斉に」でないのは、裁判所側がプレス発表せず、問い合わせがあったときだけ対応したためである。

アスベスト「問題なし」と強調
東京高裁・地裁で起きた飛散疑惑

 アスベスト(石綿)は天然鉱物なのに繊維状という変わった物質で、発がん性が高い。吸い込むと数十年後に特殊ながん、中皮腫や肺がんなどを発症する恐れがあり、日本でも2006年に製造や使用などが原則禁止された。

 だが、過去に輸入されたアスベストは約1000万トンに及ぶ。その7~8割が建築材料として使用されたと言われ、大半は今も全国各地の建築物に残されたままとなっている。

 今回アスベスト飛散疑惑が持ち上がった東京高裁・地裁もそうした1つだ。合同庁舎を管理している東京高裁の広報室によれば、庁舎では空調用の縦坑「ダクトシャフト」内に吹き付けたアスベストの除去工事を7月から実施していた。工事は平日の夜間や土日に行なっており、直近の12月13日にも除去作業があったという。

 同広報室の説明では、裁判所側が異変に気づいたのは翌14日朝のことだ。清掃職員から法廷や廊下に「白い粉が積もっている」などと連絡が入ったのがきっかけだ。

 当初は「(白い粉が)たくさんあるところは法廷を変えた」(広報室)というが、その後、そうした報告が増えていく。結局、14日は法廷を別の部屋に変更して対応したが、報告があった場所が4階から8階の特定の空調系に限られたため、同日夕方以降に法廷や廊下の扉などを目張りして、立ち入りできないようにした。

 広報室は「飛散防止措置を採っていて、簡易的な測定でも基準値以下でアスベストの影響はないと考えているが、万全を期して法廷を閉鎖した」と強調する。