グーグル元社員が考案「新型やることリスト」が超便利

グーグルで最速仕事術「スプリント(デザインスプリント)」を生み出し、世界の企業の働き方に革命を起こしてきた著者が、今度は、時間を最大限に有効に使うメソッドを生み出した。それをまとめたのが『時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』(ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー著、櫻井祐子訳、ダイヤモンド社)だ。同書はたちまちのうちに話題となり、世界16ヶ国で刊行が決まっている。
著者のジェイク・ナップはグーグルで、ジョン・ゼラツキーはユーチューブで、長年、人の目を「1分、1秒」でも多く引きつける仕組みを研究し続けてきた「依存のプロ」だ。
そんな人間心理のメカニズムを知り尽くした2人だからこそ、同書の時間術はユニークかつ、きわめて本質を突いている。「人間の『意志力』などほとんど役に立たない」という、徹底して冷めた現実的な視点からすべてが組み立てられているのだ。
さらに、「いくら生産性を上げても、ひたすら他人の期待に応えているだけ」で、自分のためになっているわけではないという。では、このテクノロジー全盛のスピードの速すぎる世界で、人生を本当に豊かにするには、いったい時間をどう扱うべきか? 本稿では、同書より「やることリスト」に言及した部分を特別に紹介したい。

「バーナーリスト」という方法

 僕の「やること」を管理する方法は「バーナーリスト」という。このリストは、全プロジェクトを細部に至るまで追跡したり、無数のタスクを同時に実行したりする助けにはならない。

 でも、そこがいいのだ。バーナーリストはあえて限られたことしか書けないようにしている。

 このリストを作成すると、「目の前のすべてのプロジェクトやタスクを引き受けるのは無理」という事実をいやでも認識させられる。

 時間や精神エネルギーと同様、バーナーリストのスペースは限られている。だからリストのおかげで、必要なときには「ノー」と言って最優先事項に集中し続けることができるのだ。

 つくり方を説明しよう。

ステップ1:紙を2つに分ける

 白紙のまんなかに縦線を引き、左右に分割する。ページの左側が手前のバーナー(コンロ)、右側が奥のバーナーになる。

ステップ2:最重要プロジェクトを手前のバーナーに置く

 手前のバーナーに置くのは1つのプロジェクト(または目標)だけ。2つでも3つでもなく、1つだ。
 左上に「最重要プロジェクト」の名称を書き、下線を引く。そのすぐ下に最重要プロジェクトのタスクを書き出す。プロジェクトを前進させるために必要なタスクのうち、ここ数日でやれそうなものを全部書き出そう。

グーグル元社員が考案「新型やることリスト」が超便利

ステップ3:カウンター(調理台)のスペースは空けておく

 左側の残りのスペースは空けておく。考え得るタスクを全部書いてスペースを埋め尽くしたい気持ちはわかるが、バーナーリストをつくる目的は、紙面を効率よく埋めることじゃなく、時間とエネルギーの有効活用だ。
 ここに空白があると、最優先プロジェクトの新しいタスクをどんどん書いていけるし、同じくらい大切なこととして、周りに余白があると、重要なことに集中しやすくなるというメリットもある。

ステップ4:2番めに大事なプロジェクトを奥のバーナーに置く

 右側のいちばん上に、「2番めに大事なプロジェクト」の名称を書いて下線を引き、タスクをその下に書き出す。
 要は、コンロで料理をするときと同じように、時間と注意を振り分けるということだ。注意を集中させるのは主に手前のバーナーだが、奥のバーナーのことももちろん意識して、ときどき鍋をかき混ぜたりパンケーキをひっくり返したりする。だがメインはあくまで手前のバーナーだ。