睡眠、美容、子育て、集中力、ダイエット、禁煙、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネス。これを日本で最も広めたベストセラー『最高の休息法』に「医師監修の特別音源CD」を付属した実践編が登場した。その名も『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』――。その一部をご紹介しよう。

世界のエリートたちのあいだで爆発的に流行

マインドフルネスは、しばらく前から世界中で爆発的に広がっています。とくにアメリカでは、数年前に一大ブームとなって以来、有名な起業家や経営者、アスリート、アーティストなどにも、実践者が広がっているようです。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズが、熱心な瞑想家だったことはよく知られていますが、それ以外にも、エヴァン・ウィリアムズ(ツイッターなどの創業者)、マーク・ベニオフ(セールスフォース・ドットコム会長兼CEO)、ジェフ・ウェイナー(リンクトインCEO)などもマインドフルネスの実践者だといいます。

また、男子テニス世界ランキング1位だったノバク・ジョコビッチは「私にとっては肉体的なトレーニングと同じくらい大切なもの」とマインドフルネスについて語っていますし*01、リオ五輪で歴代最多23個の金メダルを獲得した水泳のマイケル・フェルプス、バスケットボール界の神様と呼ばれるマイケル・ジョーダン、ハリウッド女優のエマ・ワトソンまで、幅広い業界の有名人たちにも浸透しています。

さらに、一部の個人だけでなく、職場や学校、地域レベルでの導入もはじまっています。
企業の取り組みで最も有名なのはグーグルでしょう。同社にはSIY(Search Inside Yourself:「あなたの内側を検索しよう」の意)というマインドフルネスの社内研修プログラムがあり、その効果が実証されています*02。

そのほか、フェイスブック、アップル、ゴールドマン・サックス(投資銀行)、シスコ(ネットワーク機器最大手)、パタゴニア(アウトドアウェア製造・販売)など、大企業の事例には事欠きません。
米国の医療保険大手エトナでは、全社でマインドフルネスを導入した結果、社員のストレスが3分の1になったそうです。さらに、従業員の医療費が大幅に減り、1人あたりの生産性が年間約3000ドルも高まったというから驚きです*03。

何よりも実利を重視しそうなアメリカ人、しかも、本当に役立つものにしか手を出さないはずのエリートたちが、なぜここまで瞑想にのめり込んでいるのか?

その理由は簡単です。

彼らは脳を休めることの大切さをわかっていて、同時に、マインドフルネスこそが「最高の休息法」だと実感するだけの恩恵を得ているからです。

*01 Djokovic, Novak. (2014) Serve To Win: The 14-Day Gluten-free Plan for Physical and Mental Excellence. Corgi.(邦訳『ジョコビッチの生まれ変わる食事』タカ大丸[訳],三五館)
*02 Tan, Chade-Meng. (2012) Search Inside Yourself. Harper Collins USA.(邦訳『サーチ・インサイド・ユアセルフ』柴田裕之[訳],英治出版)
*03 Gelles, David. (2015) “At Aetna, a C.E.O.,s Management by Mantra.” The New York Times: http://www.nytimes.com/2015/03/01/business/at-aetna-a-ceos-management-by-mantra.html.