睡眠、美容、子育て、集中力、ダイエット、禁煙、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネス。これを日本で最も広めたベストセラー『最高の休息法』に「医師監修の特別音源CD」を付属した実践編が登場した。その名も『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』――。その一部をご紹介しよう。
脳の疲れを防ぐ食事
もし「脳の疲れを防ぐにはどんな食事がいいですか?」と聞かれたら、私は「地中海地方の食事」と答えます。地中海地方で食べられている食材(下参照)は、ストレス・心臓・認知症、さらには、うつ病の予防にもいいとされています*01。
・毎日摂取したほうがいいもの―野菜、果物、ナッツ類、豆類、イモ類、全粒穀物、魚、エクストラ・バージン・オリーブオイル、チーズ、ヨーグルト
・ほどよく摂取したほうがいいもの―鶏肉、卵
・摂取を極力控えるべきもの―赤身肉
ただし、こうした食習慣に関するデータは、エビデンスが不十分なものも少なくありません。こちらの情報も、無作為比較試験という厳密な方法ではまだ検証されていないものです。食事については、ある食生活を送った人々と、送らなかった人々の2群をつくって、長年にわたって追跡比較することはとても難しいのです。
これらの食生活が脳によいとされる理由は、いくつかあります。まずは、果物などに含まれるフラボノイドの抗酸化作用(身体の酸化ストレスを減らす働き)や、魚油などに含まれるオメガ3脂肪酸の神経細胞膜の柔軟性や神経伝達の向上作用などが一役買っていると考えられています。この酸化ストレスは認知症患者の脳などでもよく見られ、脳細胞の死滅に関連していると言われています。
適度なカロリー制限や水分補給も、脳の疲労回復のためには大事だと言われています。それ以外で、脳にプラスの影響がありそうなのは、ジンセン(高麗人参)やギンコウ(イチョウ)といったハーブです*02。
さらには、鶏のムネ肉などに多く含まれるイミダペプチドやその他の栄養素(ビタミンB1、α-リポ酸、L-カルニチン、パントテン酸、クエン酸、コエンザイムQ10など)が脳の疲労を減らすと言われていますが、これについても十分な追試(効果の科学的再検証)が必要でしょう。
Quirk, Shae E., et al. (2013) “The association between diet quality, dietary patterns and depression in adults: a systematic review.” BMC Psychiatry 13.1.
Estruch, Ramón, et al. (2013) “Primary prevention of cardiovascular disease with a Mediterranean diet.” New England Journal of Medicine 368.14: 1279-1290.
*02) Van Praag, Henriette. (2009) “Exercise and the brain: something to chew on.” Trends in Neurosciences 32.5: 283-290.