水虫治療最前線!南米産新種、かゆくない水虫も

足白癬、いわゆる水虫を持っている人は16.7%、爪白癬、爪水虫は9.2%で、日本人の4~5人に1人は「水虫」持ちだといわれている。今世紀に入ると、国際大会で活躍する柔道や格闘技の選手の間で南米産水虫の集団発生も報告され、感染源が広がっている。最近は若い女性にも増えているらしく、ドラッグストアの水虫薬売り場には女性を意識したパッケージがずらりと並ぶ。医療用医薬品から有効成分を転用したスイッチOTCなど、バラエティに富んだ剤型と抗菌力プラスαを売りにした高機能の治療薬が注目だ。(医学ライター・井手ゆきえ)

「高温多湿」「アルカリ性」を好む
輸入水虫に注意

 水虫は白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚の角質層に寄生することで生じる。病気の原因となる真菌のなかではもっとも感染力が強く、皮膚表面のどこにでも感染するが、白癬菌にとって居心地がいい「高温多湿」の足で繁殖することが多い。汗や汚れが残ったアルカリ性の皮膚は白癬菌が好む環境なので、手のように1日に何回も洗えない足は白癬菌の楽園と化してしまう。最近は女性も1日中靴やストッキンングを履いているので、患者が増えてきたのだろう。

 水虫を起こす白癬菌は主に3種類に限られていたのだが、今世紀に入り運動選手、特に国際大会で活躍する柔道や格闘技の選手の間で南アメリカに生息している種類の白癬菌による水虫の集団発生が報告されるようになった。

 つまりは輸入水虫菌で、その名も「トリコフィトン・トンズランス」。患部は頭や顔、あごや首など肌が直接、相手と接触する部分がほとんど。海外遠征組から一般にも広がっているため、2012年に中学校で武道を必修化した文部科学省は、学校で予防すべき感染症の解説書に「白癬感染症、特にトンズランス感染症」と名指して対策と予防法を記載している。また、公益財団法人全日本柔道連盟が予防法を公開しているので、中学生のお子さんを持つ方、柔道、レスリングなど格闘技系のクラブに所属している方は参照いただきたい。

 ◎公益財団法人全日本柔道連盟 トンズランス感染症のページ (http://www.judo.or.jp/p/28295)

 ◎文部科学省「学校において予防すべき感染症の解説4 p.58」 (http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/__icsFiles/afieldfile/2013/05/15/1334054_04.pdf)