株式市場がこのところ落ち着きを取り戻してきている。伝統的な移動平均線で見ても、相場がかなり正常化されてきたことが読み取れる。

 過去においては、日経平均株価の200日移動平均線の「マイナス20%乖離」が日経平均の下値のメドとされてきたが、今回のショック安ではそれを遥かに超える大幅なマイナス乖離となった。

 しかし、このマイナス乖離も昨年9月15日のリーマンショック後、初めてマイナス20%のラインを上回ってきている。

 中期的なトレンドを示す100日移動平均線で見ても、日経平均がそれを上回るようになってきた。100日線を連続して上抜けたのは、昨年の6月以来となる。

 移動平均線そのものはまだ下向きであることから、相場が上向きに転じたとは言いがたいが、ダウントレンドに歯止めがかかったと判断できそうである。

 下げ続けた移動平均線も4月半ば頃から上昇に転じそうで、さらにリーマンショック後の高値をクリアすれば200日線を上抜くことになる。そうなれば、戻り売りから押し目買いへの転換となる。

 しかし、マーケットセンチメントが好転したとしても、ファンダメンタルズは依然として弱い。上値を買う投資家の存否が、戻り相場の継続性を占う意味でも気がかりなところだ。

 次ページのグラフは投資主体別売買動向の買い代金の推移を示している。1997年以降の数年間において株式を大きく買ったのは、外国人と個人そして証券会社だ。その他の投資家は、一時的な振幅はあったにせよ、ほぼフラットに推移していることがわかる。

 この3つの投資家に共通しているのは、短期売買が主体の層と、中・長期的な売買を主体とする層が混在している点だ。