池袋駅西口の本店を核に四つの百貨店を運営する東武百貨店。東口の西武百貨店が行った改装に対して、どのように対抗していくのか。

東武百貨店社長 根津公一<br />百貨店への固定観念を捨て<br />新ブランドとテナント誘致Photo by Tetsuro Ikejima

──池袋本店が売上高で前年比90%台と、苦戦している。

 かつて、池袋においては「食品の東武、ファッションの西武」と言われたが、現在、食品でも西武に押されつつある。そこで、食品はもちろんのこと、化粧品、ファッションもてこ入れをする。化粧品は扱っているブランド数を倍にして、ファッションはこれまでの百貨店には入っていなかったようなテナントに入ってもらう。

 東武のような中規模の百貨店は、どうしても、有力なアパレルメーカーの人気ブランドを、大手百貨店と同じように仕入れるのは難しい。そのため、大手百貨店と仕入れの面で業務提携したりしたが、どれもうまくいかず、有名無実化している。本当に仕入れを共同にするなら、東武が大手百貨店の傘下に入るしかないが、今はその可能性はない。

 そこで「百貨店にはこういうブランドが入っているべきだ」という先入観を捨てて新しいブランドを入れる。消費者は今、別のものを求めているからだ。

 現在、社員には、ルミネやパルコに入っているが、百貨店には入っていないブランドに声をかけて、仕入れられるように交渉の指示を出している。