シニア夫婦と営業写真はイメージです Photo:PIXTA

 標準生命表の改定に伴い、今年の4月からいくつかの生命保険会社が死亡保険料を引き下げたのをご存知ですか?

 この標準生命表というのは、日本アクチュアリー会(アクチュアリー:保険計理士)が作成しており、各年齢の死亡率などは、生命保険会社が保険料を算定するベースとなっています。

 なぜ保険料が下がるのかというと、前回改定の2007年以降、医療技術の進歩や景気回復による自殺者の減少で平均寿命が延びたからです。その結果、たとえば65歳男性の平均余命は2007年の17・85年から19・53年へ、65歳女性の平均余命は22・91年から24・27年に、それぞれ2年弱伸びました。長生きする人が増えるということは死亡する人が減り、保険会社が支払う保険金総額が減りますから、今回の改定で死亡保険料が下がったというわけです。

 死亡保険料が下がりますので、これだけ聞くとありがたいと思ってしまう人も多いでしょう。でも、実は死亡率の低下に伴う平均寿命の伸びにはマイナスの影響もあります。今回は、標準生命表改定のインパクトについて見ていくことにします。

改定のインパクトは一様ではない

 まずマイナスのインパクトをこうむる代表例は、医療保険です。長生きする人が増えると、その間に病気になる人が増え、医療保険からの給付金を受ける人も増えます。この増えた給付金を賄うために保険料を引き上げる必要が生じるのです。実際、今回の標準生命表の改定で、何社かの保険会社はすでに医療保険料は上昇すると公表しています。