アイコス

 新型アイコスは、成長が鈍化する加熱式たばこ市場の新たな起爆材となるのか。

 米フィリップモリス・インターナショナル(PMI)は10月23日、加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」の新モデル「アイコス3」「アイコス3 MULTI(マルチ)」を発表した(価格はそれぞれ1万980円、8980円)。国内では、11月15日の発売を予定する。

 2016年に日本で発売され、加熱式たばこという新たな市場を開拓したアイコスは、先駆者として市場で断トツのシェアを誇ってきた。しかし、17年以降、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「glo(グロー)」や、JTの「Ploom TECH(プルームテック)」などの後続が存在感を増す中、苦戦を強いられている。

 アイコスの市場全体のシェアは、17年第1四半期の7.1%から、18年第1四半期には15.8%と大きく伸長した。だが、18年第3四半期には15.5%と微減しており、以前のような成長の勢いはない。また、現在20%程度を占めると推計される加熱式たばこ全体の市場シェアも、アイコスの不調もあって鈍化が指摘されており、加熱式たばこの覇者であるPMIに逆風が吹いているのだ。

年末にかけて再度
競争が激化する

 PMIは、新モデルの投入で巻き返しを図る。それまでのアイコスは、競合品のように連続での喫煙ができず、喫煙ごとに充電が必要になる点が消費者から敬遠されていた。アイコス3マルチでは、10本の連続喫煙を可能とし、ホルダー(たばこの加熱器)とチャージャー(充電器)を一体型とするなど、利便性を向上させた。また、アイコス3でも、充電時間を4分10秒から3分30秒に従来品と比べて40秒短縮するほか、ホルダーの挿入を全方位型とすることで、出し入れ時の不満を解消した。