10月から始まるたばこ増税に合わせ、たばこメーカー各社の値上げ発表が出そろった。その裏で、メーカー側はかつてないほどの神経戦となった。加熱式たばこがこれまでと異なる税方式となったからだ。
紙巻きたばこについては、値上げによる需要減に対して利益を維持する値上げの経験則やノウハウがある。加熱式は今回初めての値上げ。各社手探りで値上げ幅を決断した。
加熱式は従価税と従量税を合わせた複雑な税制となり、使う葉タバコの重量といった個別の商品ごとに税率が異なる。そのため、単純に現行商品の価格だけを考えればいいわけではない。今後展開する加熱式の商品の葉タバコなどの重量とそれにかかる税までを踏まえ、それらと現行商品の価格差を戦略として考える必要がある。
加熱式において、JTは年末から来年頭ごろに、他社と同じ高温加熱タイプの新商品の発売を予定している。フィリップ・モリス・インターナショナルも年内をめどに「アイコス」の次世代機や、新たなヒートスティック商品(たばこスティック)の投入を決算会見で公表している。
商品の裾野が広がっていくことは間違いなく、その未発売品を含めて非常に細やかな価格シミュレーションが求められるのだ。