テレビやインターネットの番組に「青汁王子」として登場していた健康食品会社「メディアハーツ」(東京)の三崎優太社長(29)が12日、約1億8000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで東京地検特捜部に逮捕された。写真はイメージです (Photo:PIXTA)

女性向けにダイエット効果などをうたった青汁商品を手掛け、テレビやインターネットの番組に「青汁王子」として登場していた健康食品会社「メディアハーツ」(東京)の三崎優太社長(29)が12日、約1億8000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで東京地検特捜部に逮捕された。三崎容疑者は豪華マンションに居住し、高級外車や競走馬も複数所有。アクセサリーや時計を爆買いしたり、海外旅行で豪遊したりする様子をメディアが紹介し、自らもSNSで発信していた。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

任意で否認、逮捕後は認める

 三崎容疑者は2015年9月期と17年9月期の2年間、架空の宣伝費を計上するなどし、法人税約1億4000万円と消費税約4000万円を脱税した疑いが持たれている。三崎容疑者のほかにも手助けしたとして、会社役員ら2人も逮捕された。

 事件に詳しい方なら、この逮捕を受けて一瞬「おや?」と疑問に感じたのではないだろうか。

 というのは今回の事件、脱税額がそれほど多くなく、むしろ少ない。手口も経費の水増しと典型的な手法で、それほど込み入った悪質性も見られないからだ。本件だけ見れば逮捕する要素はなく、可能性としては余罪があるか、情状面が悪かったかのいずれかだろう。

 通常、脱税事件は国税局の査察部(マルサ)が強制調査し、所得隠しの金額、手口の悪質さ、情状面などを検察庁と総合的に協議。多くは在宅のままで、国税局が検察庁に刑事告発するのが一般的だ。そして告発を受けた検察庁が公判請求(起訴)するか否かを決める。ほとんど起訴されるが、刑事処分をするまでもないと判断されれば、行政処分の追徴課税で済むケースもごくまれにある。

 なぜ在宅のまま告発というパターンが多いのかと言うと、強制調査を受けた段階でほとんどの対象は事実関係を認め、修正申告して情状酌量を求める。ただでさえ反面調査で取引先に迷惑を掛けているので、早期に幕引きしたいと考えるのは当然だ。