福岡G20閉幕、「貿易赤字にこだわるトランプの米国」の説得は成功したか9日夕に議長国記者会見に臨んだ麻生太郎財務相(中央)、日本銀行の黒田東彦総裁(右)、財務省の浅川雅嗣財務官(左)

日本初開催となったG20財務相・中央銀行総裁会議が9日、閉幕した。日本は最終日、議長国として「経常収支の不均衡是正」をテーマに掲げて臨んだ。実はその裏には、トランプ米大統領に対して「貿易赤字削減だけにこだわっていてもあまり意味はないんですよ」と気づいてもらい、やんわり説得したいとの思惑も透けて見えていたのだが、その試みはどこまで成功したのか。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「あえて具体策には踏み込まなかった」。9日夕に採択されたG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明。文言作成に携わった財務省同行筋のこの一言に、G20が団結する難しさが滲み出ていた。

 声明では米中貿易戦争を念頭に「貿易と地政を巡る緊張は増大してきた」とし、「リスクに対処し続けるとともにさらなる行動をとる用意がある」と構えは見せたが、「保護主義に対抗する」といった形で反保護主義を謳うには至らず。最後まで一枚岩になりきれない様が浮かび上がったからだ。

 その最大の要因は、経済規模世界トップ2の米国と中国が貿易戦争を繰り広げる中、“仕掛け人”である米国に配慮せざるを得なかったこと。米国の政策を否定するような踏み込んだ表現を入れようとし、彼らがへそを曲げれば「国益がぶつかって声明に(最低限の内容すら)書けなくなってしまう」(財務省幹部)懸念があったからだ。