IQOS(アイコス)やglo(グロー)、Ploom TECH(プルーム・テック)などをはじめ、愛煙家たちに人気の「加熱式タバコ」。その中でも、国内シェア70%程度を占めるアイコスを見ると、一時期は世界シェアの96%も日本が占めていたという。お上の締め付けも厳しくなり、タバコメーカーがいうほど無害というわけでもなさそうなアイコスだが、なぜ日本だけで流行っているのか。(清談社 岡田光雄)

加熱式タバコの
健康リスクは?

アイコスの喫煙風景アイコスが日本で大ヒットした理由は、法律やタバコ産業のあり方など、日本特有の事情があります Photo:PIXTA

 加熱式タバコのイメージというと、読者の中には「紙タバコほど体に害がない」「受動喫煙に配慮できる」などと思っている人もいるだろうが、厚労省は「受動喫煙の恐れがある」との見解を示し、2020年に施行される改正健康増進法では加熱式タバコも規制の対象になる。一定規模以上の飲食店や施設では、加熱式タバコも原則禁煙となり、最低でも専用の喫煙ルームを設けなければならなくなるのだ。

 加熱式タバコとは、紙タバコのように葉に直接火をつけるのではなく、葉を加熱してニコチンなどを含んだエアロゾル(蒸気)を発生させる方式のタバコのこと。加熱式タバコはしばしば電子タバコと混同されるが、前者はタバコの葉を使っているのに対し、後者は使っていない。

『新型タバコの本当のリスク』(内外出版社)の著者で、大阪国際がんセンターの田淵貴大医師は、前提として加熱式タバコは健康被害をもたらす、と断言する。

「加熱式タバコのエアロゾル(蒸気)からは、紙巻きタバコと同様にホルムアルデヒド、アセトアルデヒドやアクロレインなどの発がん性物質や有害物質が検出されています。加熱式タバコから出る有害物質の量は、紙巻きタバコと比べて、少ない物質とそうでもない物質があり、有害物質の種類は同様に多い可能性が高い。もちろん加熱式タバコでも、受動喫煙の害はあります」

 加熱式タバコの健康リスクを巡っては海外でも議論されており、アイコスを提供するフィリップモリス社の本拠地であるアメリカでも、長らく販売することができなかった経緯がある(2019年4月末にようやく認められた)。