だるい、疲れやすい、気分が沈む、よく眠れない…その体調不良は、男性ホルモンである「テストステロン」不足かもしれません!
テストステロンは、「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」、快眠を促す「メラトニン」などのホルモンの分泌を促したり、女性ホルモンを作り出したりする、ホルモンの中では重要なもの。
この連載は、ホルモン不足で体調不良にならないための本『「男性医学の父」が教える最強の体調管理』から抜粋して編集、ご紹介。
今回は、前回から引き続き、ホルモン注射をしたコラムニスト、石原壮一郎氏の体験記(後編)です。

体調不良が改善!?<br />「元気ホルモン補充」体験記 後編Photo: Adobe Stock

56歳、コラムニストの
テストステロンの値は果たして!?

前回の血液検査からおよそ2週間後。今回は最初に先生の診察です。

「石原さんの検査結果は、こうなりました」
プラスチックの表紙にはさまれて、A4サイズの紙がファイルされています。前半が測定した結果の数字、後半がそれぞれの数字の説明です。

「フリーテストステロン(RIA)は、えーっと、8.7ピコグラム(pg/ml)ですね。56歳ですと9ピコグラムが、十分に元気かどうかのひとつの目安です。そこにはわずかに届きませんでしたが、個人差もありますし、まあ心配はないでしょう」

ホッとしたようなガッカリしたような……。本書55~59歳の男性は「9~11ピコグラム」が中央値とあります。ずいぶん幅があるものなんですね。上限(一番多い人たち)は20ピコグラム、はるかかなたです。

そのほか、体脂肪の多さを指摘されましたが、それは想定の範囲内というか一目瞭然というか、とくに驚きもショックもありません。運動しなければという思いを新たにしました(体重を測るたびに思いを新たにしていますが)。

ともあれ、自分の体内を駆け巡っている男性ホルモンは、けっして少なくはないけどお世辞にも多いとは言えないことがわかりました。そして、分厚い問診票に答えた結果から導き出されたのは、大まかにまとめると

「ものごとに対して意欲的だしそれなりに前向きな気持ちで毎日を過ごしているが、体力面でちょっと不安な部分がある」という結論。これもまあ、なるほどというか、そうだろうなと納得しました。

人間誰しも「自分」というものは、よくわかっているようでそうでもありません。元気やヤル気にしたって、他人とその実感を比べることはできないので、「まあ、みんなこんなもんだろう」と片付けがち。いつのまにか「自分比」で元気やヤル気が減少していても、たぶんなかなか気づかないでしょう。

男性ホルモンを測定して、客観的な数字で「50代として少なくもないけど多くもない」という事実を突き付けられて、自分をさらに冷静に見つめることができた気がします。

ホルモン値は平均だったものの
「ホルモン補充」を体験

いや、もちろん男性ホルモンの値だけですべてが決まるわけではありません。
しかし、現在の立ち位置がわかったことで、「そっか、こんなもんか。じゃあ、まだだいぶ伸びしろがあるってことだな」という気持ちが湧いてきました。しかも、先生からお墨付きをいただいた睾丸には、まだまだポテンシャルがあるはずです。

この日は、もともと男性ホルモンの注射を打ってもらう前提で来ていました。「健康な状態の方が打っても副作用はないし、打つことで自分がどう変わるか、ぜひ体験していただきたいと思っています」

先生もそうおっしゃってたし、「まあほどほどの男性ホルモン値」ということを知ったことで、「打ってみたい」という意欲がますます高まりました。「ぜひお願いします。どんどん、たっぷり打ってください!」

「いや、たっぷり打つわけにはいきませんけど、では準備しましょう」先生が看護師さんに「注射お願いします」と声をかけました。このあいだいろんな検査をしてもらった隣りの部屋に移動して、いよいよ初めての男性ホルモン注射です。