男性ホルモン=「テストステロン」は、体調を左右するホルモン。たとえば、快楽物質の「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」、快眠を促す「メラトニン」などのホルモンの分泌を促したり、女性ホルモンを作り出したりします。
不足してしまうと、体調不良の一因にもなるこのテストステロンと上手に付き合う方法が書かれた書籍『「男性医学の父」が教える最強の体調管理』から抜粋して編集、ご紹介します。今回はホルモン注射をしたコラムニスト、石原壮一郎氏の体験記(前編)をご紹介します。

補充療法とはどんなことをするのか?<br />「元気ホルモン補充」体験記 中編Photo: Adobe Stock

※この記事は、前回から引き続き、テストステロン補充=ホルモン注射を体験した石原壮一郎氏の体験記です。

前回、ホルモン注射を打つ前の問診票記入のことを書きました。だいぶ深い問診に、自分をさらけ出す勇気を持って正直に書き終わり、それを受付の方に渡すと、次は尿の採取です。

紙コップを持ってビルのフロアにあるトイレへ。健康診断で何度か経験はありますけど、こぼさないかとか持ち運んでいるときにつまずいたらどうしようとか、毎回ちょっと緊張します。

私の体の大切な情報がたくさん入った紙コップを無事に提出して、いよいよ検査室へ。美人看護師さんが健康診断のときと同じ感じで腕の内側に針を刺して血液を採取し、いかにも高性能な感じの機器で体重や体脂肪などを測定してくれました。

せっかくなので、何か世間話でも。
「やっぱり、男性ホルモンは多いほうがいいですよね」
「えっ、あ、はい。そうかもしれませんね」
「私の血はどうですか?」
「え、ええ、いいお色だと思います」

すいません。緊張して唐突にヘンなことを聞いてしまいました。そんなこと聞かれても、答えようがないですよね。

いよいよ診察室で先生にご対面。
あわわ、いきなり衝撃の展開が!

ひととおりの検査を終えて、次は検査室の隣りの診察室へ。

今日はきっと質問に答えたりお話を伺ったりするんだろうなと漠然とイメージしていましたが、人生は何が起きるかわかりません。

今後の説明やホルモンについてのお話を伺ったあと、先生はおもむろにこうおっしゃいました。
「石原さん、では下着を脱いでベッドに仰向けに寝てください」

あわわわわ、ま、まさかの展開……。先生は続けます。「睾丸の大きさを確認いたします」 
ひざを立てて、少し足を開きます。「ほうほう、なるほど」と呟きながら、薄いビニールの手袋をした手で、そっと持ち上げてくださる先生。

「直径30mm以上ある立派な睾丸ですね。縮んでしまっていると男性ホルモンが生成できなくなるのですが、この睾丸でしたらまったく問題ありません」

ありがとうございます! 生まれて初めて睾丸をホメられました。先生が片手に持っているのは、さまざまな大きさの黄色い玉がつらなった測定器(?)。それぞれの玉はまんまるではなく、やや細長い形をしています。

小さい玉は小豆ほどで、大きいものはキンカンぐらい。それぞれに「25」「30」「35」といった数字が書かれていて、どうやらそれと比較しながら睾丸の大きさを測るようです。

補充療法とはどんなことをするのか?<br />「元気ホルモン補充」体験記 中編


そうですか、立派な睾丸ですか。今まで人と比較したことはありませんでしたが、なんだか人生を前向きに生きていくための大きな自信をいただいた気がします。

と、仰向けに寝ながら深い満足感にひたっていたら、次の展開が。手袋を新しく交換した先生の指が……。前立腺の触診です。

前立腺は、ご存じとは思いますが男性だけにある臓器で、膀胱の下にあります。直腸に隣接しているので、肛門から指を挿入して、直腸の壁越しに触診ができるのです。そして硬くなっていると前立腺がんの疑いがあるとか。

そして、その場合は、男性ホルモンの補充は控えたほうがいいと判断されます。40代以降の男性の場合、男性ホルモン不足が原因で前立腺が肥大しているケースも少なくありません。

「はい、おつかれさまでした。前立腺にも問題はありませんね」ほんの一瞬でしたが永遠のように長く感じました。恥ずかしいような、ここまでしていただいて申し訳ないような気持ちでいっぱいです。

これにて、今日の診察はおしまい。とりあえず、睾丸と前立腺には何の問題もないことがわかりました。さてさて、自分の男性ホルモン値はどのくらいなのか。補充することで何がどう変わるのか。とても楽しみです。

ちなみに費用は、自費診療なので初診セット1万6000円&基礎検査5000円+税で2万2680円でした。
(続く)