ネットワークセキュリティPhoto:Yuichiro Chino/gettyimages

 2020年に世界で起きる最大の消費トレンドは何か? ロンドンに拠点を置く国際的な市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルは、今年の予想トップ10を発表した。変化の多くはテクノロジーを起点にしたものだ。

 同社は2010年から毎年予想を公表している。2020年版の概要は以下の通り。

プライバシー懸念の高まり

 自分専用にカスタマイズした製品やサービスを期待する消費者が増える一方で、そのために個人データを譲り渡すことにはちゅうちょがある。ユーロモニターの2019年の調査によると、ネット検索に基づくターゲット広告がプライバシー侵害だと考える消費者は40%を超える。より若い年齢層は、個別のサービスと引き換えにデータを共有することには前向きだが、データの使用方法について透明性を求めている。

 ユーロモニターは、プライバシー管理を消費者が行う方向で法整備が進み、消費者に直接利益がなければ、企業が個人の履歴を追跡しないよう事前にオプトアウトする動きが広がると予想する。「消費者は、透明性や十分なセキュリティー、オプトアウトの選択肢もなく、自分たちのデータを引き出し、活用する企業に対し、着実に信頼感を低下させている」と同社は指摘する。

ロボットがより身近に

 人間が従来行っていた仕事をロボットやその他の人工知能(AI)が引き受けることに消費者は慣れ始めている。アマゾン・ドット・コムの「アレクサ」のようなAIを搭載した家電製品やバーチャルアシスタントを購入し、音声コマンドなどの新機能を使う習慣を身につける人が増えるだろう。「この技術を完全に信頼し、あらゆる場面でアクセスするまでにはもっと時間がかかるが、われわれの幸せや便利さ、快適性のためにAIロボットを活用するという概念を消費者は受け入れつつある」。ユーロモニターはこう述べた。

出無精の人が増える

 経済的、政治的、個人的な不透明感が強い時代には、消費者は大抵自宅に引きこもろうとする。今や高速インターネット接続が普及し、家庭向けサービスが増え、配達時間が短縮されたおかげで、不自由さはなくなっている。ユーロモニターの調査によると、世界でブロードバンドに接続できる世帯の比率は2010年以降倍増し、多くの消費者は在宅ワークが可能になった。

「会社に行くために自宅を出る必要がなくなると、いかなる理由でも外に出たくなくなる」とユーロモニターは指摘。「その結果、在宅ワーカーがネット通販、家庭用フィットネスサービス、インスタント食品、食料品配達などのビジネスの成長を促している。犠牲になるのは従来型店舗やジム、レストランなどだ」